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August 31, 2008.

バド+映画x2


今日はバドの試合日。久し振りに組む友人とダブルスで中級にエントリ。結果は1勝2敗で決勝トーナメントにも残れず。うまく集中力が出せなかった。練習だけうまくなってもなぁ。最後に負けた試合は過去に何度も勝った事のある相手だったのに....。一番試合数の少ないリーグだった事もあり、11:30にはやる事がなくなってしまう。やれやれ。

その後試合が終わるまでの間、手の空いた人間を捕まえてはダブルスやシングルスの練習試合。練習量が増えたせいか、ダブルスで息が切れるような事は滅多に無くなったけど、シングルスにはまだまだ体力や脚力が不足。シングルスももっと積極的にやろう。

遊びの試合の終わりがけに本気でエネルギー切れになり、動けなくなった試合の最中、相手のほうが圧倒的にうまいペアであるにもかかわらず、ペアの子の「絶対あのペアに勝ちたい〜!!」との台詞を聞いて発奮。負けたものの19-21まで追い詰めた。結局のところ試合の集中力ってそういう素直な気持ちが作る気がするな。もっともっとプリミティブに生きよう。

 

今日の試合では楽しい事が2つ。1つは彼女様の試合結果。上級エントリが1チームしかなかったとの事で、中級の5チームを混ぜた6チームリーグで試合を行なったのだが、総合2位。つまり中級では1位の成績だったし、上級エントリのペアとも良い勝負だったのだ。いいなぁ、負けずにはやく中級を卒業したいぞ。

もうひとつは友人S氏が上級で優勝した事、というかその試合中の表情。S氏は友人中では飛びぬけてうますぎて、誰と組んで試合に出ても、回りの動きの遅さがむしろ邪魔になり、楽しく試合が出来た事がなかったのだ。それで文句を言うような人ではないけれど、いつ見ても眉間にしわがよっていて、切ない顔で試合を終えていたのだ。ところが今回、初めてペアを組んだA木氏とのローテーションは完璧。どちらもかなり後に構え、もの凄い速度で遠慮せず動きつつ、それでいてぶつかる事もなく、見事に試合が動いていた。あんなに笑顔で試合をするS氏を見たのは初めて。なんだか他人事なのに本当にうれしかった。子供を見る親の気分。

 

夕食は2位のお祝いと言うことで焼肉やさんへ。ガッツリ飲み食い。2位なのは彼女様なのに自分がビールをがぶ飲み。で、その後は本屋さんへ。森博嗣の短編集を探していたのだが見当たらず。店員に尋ねたところ、売り切れなのだとか。スカイクロラ効果だろうか?やるなぁ。

 

帰宅後はパンズ・ラビリンスの続き。結論を先に言うと、ナルニア、ロードオブリング、ハリーのようなファンタジーを想像して見ると最悪(そもそもR12指定だし)。20点。しかし、戦争映画、社会派の映画、芸術映画として評価すれば素晴らしい作品だと思う。脚本をそのまま小説化しても読むに耐えうる内容。演技、映像、脚本どこにも穴は見当たらない。80点ぐらいあげてもいい。ただし、元気のあるときに見るべき映画。デートには向かない。そして見終わった際には絶対にスッキリしないはず。それが狙いであり、多分救いなのだと思う。

 

以下、完全なネタバレ。結末まで含むので、まだ見てない人は読み飛ばしてください。

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昨日書いたとおり、内戦9割、ファンタジー1割のまま話は進む。ハリー・ポッターなど通常のファンタジー作品であれば、救いとなるはずのファンタジー・パートは、オフェリアにとって救いにならない。第1の試練で泥だらけになったオフェリアは、罰として夕食を抜かれてしまう。その結果、第2の試練でつい食べてはいけないものに手を出してしまい、オフェリアは試練に不合格となり、ファンタジーの世界からも見放されてしまうのだ。

現実世界の状況もさらに悪化。スパイの何人かは正体がばれて殺され、ゲリラ側、軍隊側双方に多数の死者が出る。母は弟を産む際に死んでしまう。そんな中、ラビリンスの管理人パンが「特別に」オフェリアに与えた、地底の世界に戻るための最後の試練は、弟、つまり将軍にとっての世継ぎを誘拐してくることだった。弟を連れてラビリンスの入り口に立ったオフェリアはパンに「弟の血が数滴必要だ」と説明される。

お察しの通り、オフェリアは拒絶する。そこで「よく拒絶した」と褒められ、美しい世界へ、というのが普通のファンタジー的展開なのだが、そうはならない。オフェリアの背後には将軍が迫る。彼の目にはパンの姿は映っていない。そして、将軍はオフェリアを銃で撃ち、弟を取り返す。その後、ゲリラ軍たちは弟を抱えた将軍を発見し、弟の身柄を確保すると、将軍を殺害。そして、血まみれで倒れているオフェリアを発見するのだ。

場面は一転し、オフェリアは美しい服装で、金色の宮殿に立っている。DVDのパッケージのあのシーンだ。パンはようやく「よく拒絶した」と褒め称え、妖精たちが飛び回り、優しい地底の王国の父と母がオフェリアに笑いかける。オフェリアは幸福につつまれ、微笑を浮かべる....のだが、場面はまた現実世界に戻り、血まみれのオフェリアは静かに目を閉じる。

 

この映画を見て「そうか、死ぬ前に地底の国に戻れたのね」と思う人はとても幸せな人である。最後のシーンが現実世界である時点でそれだけは絶対にないはず。それどころか恐らく、この作品は「ファンタジーではなかった」のだと思う。「物語の好きな少女があまりに過酷な現実世界を前に、自分に都合の良い世界を妄想していただけ」と読み取るのが自然。ファンタジー・パートは全部オフェリアの妄想だったのだ。2度目の試練に失敗したのに、ピンチになった途端に「最後のチャンスをやろう」なんて都合のいい展開が待っていた理由もそれで説明がつく。

したがって、「ファンタジーだと思って見ると後悔する」のは当たり前なのである。内戦時の苛酷な環境下における少女の心理を描いた、社会派の芸術映画なのだから。しかし、ファンタジーではありません、と書いてしまうとその衝撃が薄れてしまうため、あえてファンタジー作品的プロモーションを行なったのではないか、と勘ぐってしまった。だとすれば嵌められたとしか言いようがない。

ところが完全な妄想として捉えるにはやや疑問も残る。母親の不正出血を本が予知した事、マンドラゴラの呪い(まじない)が効果を示した事、そして、魔法のチョークで出入りできないはずの部屋に侵入し、弟のところまでたどり着けた事などである。これが冒頭に書いた「スッキリしない」点。無論、最初の二つは偶然とみなす事ができるし、最後の1つは脱出にはチョークを使っていなかったことから、チョークは彼女の「行動力」のイメージであり、実際には普通に歩いていただけとも考えられる。しかし、全体的に「ただの妄想には思えない」というリアリティを設定する事で、ただの妄想ではなく、死後にオフェリアの魂が地底の王国にたどり着いているのではないかという想像、あるいはたどり着いていてほしいという願いのようなものを観客の心に喚起していると思う。つまり「地底の王国」は少女にとっての「逃避の世界」だけではなく、観客にとっての「救いの世界」でもあるわけだ。

 

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ネタバレここまで。

 

とまぁ、長々と書いたが、見るともの凄く疲れるけど名作だという事は確か。芸術映画好きにはお勧め。ハリウッド映画しか見ない人はやめたほうが良いと思う。

 

で、引き続き「コープス・ブライド」を見た。こっちは内容にはあまり触れずに適当に説明。多少は触れる事になると思うので、ネタバレに厳しい人は読み飛ばしてください。

 

以下若干ネタバレ

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本作はティンバートンお得意のゴチックなキャラによる映画。映像は綺麗だけどストーリーは単純。見た人には分かると思うけど、あれって「うる星やつら」だよね(笑)。ともかく、ストーリーに関してもティンバートン特有の「救いのなさ」などがオミットされており、良くも悪くも子供向け。どちらかと言うとディズニー映画に近い印象。子供も安心して見られるところは利点だけど、子供に見せるならディズニーの方が良いというジレンマに陥っている。人外に語らせると歯の浮く台詞やコンセプトが素直に吸収できる、という「ぼのぼの効果」には成功している。「死体嫁」が魅力的に描かれている点、それでいながら「生者嫁」も悪人にしなかった点は好評価。

演出面ではミュージカル調のパートが若干鬱陶しい。これは個人的好みの問題。一方、ピアノで感情を語るシーンなどはお気に入り。中盤の連弾のシーンなどはジンと来る。無言の演技が好きなせいかも。

映像に関しては、絵に比べ3DCGで描かれたキャラクタはティンバートン特有の気持ち悪さが不足。毒がなさ過ぎる......と思っていたのだが、調べてみて驚愕。この映画、ストップ・モーションで撮影していたらしい!!どういうことかと言うと、人形劇なのだ。1コマずつ人形を動かして撮影したのだ。しかし、あまりに映像が凄すぎて、baristaが3DCGだと誤解していたというわけ。「最近のCGにしては表現が古いな」などと思ってみていたのだが、とんでもない誤解。あとで新たな気分で見直してみよう。それを知ってから評価すると、上述の連弾のシーンは凄まじいな....。

結論としては、ストーリー外の深さを求める人、爽快感を求める人には向かない。55点。しかし、手法自体に興味のある人、映像美に酔いしれたい人には70点ぐらいかな。個人的には映像をもっとゴチックに描いてくれた方が高評価だった。


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