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August 21, 2008.

パズル・パレス


日記のタイトルはダン・ブラウン作Digital Fortressの邦題。売れそうなタイトルだが内容には即さないと思う。朝の電車でようやく読了。薄い本に見えたのでトライしたのだが、350ページ以上あって結構時間がかかった。まぁまぁ面白かったけど大味。あくまでハリウッド映画的で、ミステリとして読んだりしようものなら完全なトンデモ本。リアリティを求めてはいけない。彼の作品はダ・ヴィンチ・コード (和訳版) → Angels and Demons (洋書) → Digital Fortress (洋書)と遡って読んだが、ダヴィンチが一番面白かったように思う。処女作であるDigital Fortressはまだまだ大味だし、薀蓄で塗り固めたにしては調査不足だし(自分がSEだからの評価の可能性はあるけど)、シドニィ・シェルダンの劣化コピー的。

 

以下、かなりネタバレ。未読でこれから読む予定の人はガッツリ読み飛ばしてください。

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どのへんにリアリティが足りないかと言うと、一番気になるのは技術者が馬鹿すぎるあたりと、そもそもの技術的な設定。この作品はあるデータバンク兼、諜報機関が舞台なのでIT系の話題が頻繁に出るのだが、あまりにも嘘が多いのだ。

 

まずは技術者について。例えば、「セキュリティがあと1時間でやられる。国家機密がだだもれになる。シャットダウンには30分かかる。そろそろ限界だ。どうする?」なんて事態になる。彼らは「重要な機関がシステムにアクセスしている。サービスを止めるわけにはいかない」とかいって結局30分限界を超えてしまい、データがだだ漏れになる危険にさらされる。まともなSEなら確実にシステムを止めるだろう。漏れた情報を回収する事は絶対に不可能なので、そっちが優先事項。「この機関に所属する連中とは仕事したくねぇ」と思った。仮に戦略システムなどが止まっても、そのほうがマシである。そもそもシステムが止まったら何も出来ない、なんていう重要機関は存在しない。重要な機関ほど、デジタルが停止した際の最終手段を準備しておくものである。

それから、シャットダウンに30分かかる、とか言っているが、「ネットワーク系のセキュリティがオフになる」というだけなのだから、残り時間ギリギリまでまって駄目なら、LANケーブルを抜けばよい。シャットダウンなんざ不要。どうしても電源が切りたいなら、UPSと本体をつなぐ電源ケーブルを抜けばよい。即座に落ちる。データが一部破損する可能性があるが、いまどきのHDDはそう壊れないし、普通はRAIDなどを組むだろうから気にせず落とせば良い。

 

それから技術的な面。そもそも、データが消えるかも、とあせるシーンがあるが、データを一箇所に集約など考えられない。重要なものなら必ず地理的に離れた場所にバックアップシステムを作る。そうでないと爆弾一発や地震発生だけでデータを喪失するからだ。多少古い作品と言うところを鑑みても、何十年も前から重要なデータはテープなどの磁気媒体にバックアップするのが普通。あまりにもお粗末なシステムと言わざるを得ない。

それから、データの扱い方にも疑問。そもそもアメリカ中の大事なデータを1箇所に集めるだろうか?いくら暗号化しても、そのデータをネットワーク越しにやり取りするなど危険すぎる。「セキュリティを解除すると一般人がアクセスできる」と言う事は、インターネットにつながっていると言うことで専用線ではない。政府機関がVPNで超重要データをリアルタイムでやり取りしている事になる。無論、データを管理サービスに任せるという思想は近年普通だが、トランザクションデータまですべてリアルタイムで送受信なんて考えられない。送受信の回数を減らすことが一番のセキュリティのはずだ。極端な話、ネットワークにつながっていないデータは人が運ばない限り漏洩しないのだから。ってか、そもそもパフォーマンスがでないだろう。パケットは光の速さを超えられないし、暗号化すればパフォーマンスはCPUに依存する。帯域を広げればと一般人は言うが、帯域とパケット到達までの速度は意味が違う。高速道路の車線数を無限に増やしても、名古屋-東京間を10分で移動することが無理なのと同じだ。多重に暗号化している状態は、料金所だらけの高速道路を想像するとよいだろう。

さらに「ヱヴァか!」と突っ込みたくなるような描写で「ファイアウォールが攻撃されています!占拠まであとxx分!」なんてシーンがあるが、いわゆるファイアウォールというのは、アクセス先・元のIPおよびPortによってパケットを通すか通さないかを判断しているだけなので、ただのテープル情報である。サーバ内部でウィルス的に活動可能なプログラムなら、Administratorの権限を持っているはずで、単にテーブルをクリアして全部OKにするだけなのでナノセカンドの単位で完了するはずだ。unixでファイアウォールを組んだ事のある人ならわかると思うが、占拠に秒数がかかるということ自体考えられない。逆にファイアウォールがサーバ外にあってウィルスがそのAdministrator権限のパスワードを知らないなら、パスワードを全パターン試さないとテーブルのクリアにたどり着けない。作中の暗号複合用スーパーマシンTRANSLUTERが壊れた後の話だから、1日やそこらではまったく占拠できないだろう。ファイアウォールに対する「xxx%まで占拠!残りxx分」なんて描写はアニメだから格好いいのであって、小説でやられると萎えるのだ。

というか、そもそも書き換えられないようにROMで構成しとけば?と思う。書き換え不能なタイプのハードウェアで制御すればソフトからはクラックできない。人間の手で差し替えない限り。

 

それから、技術系とは関係がないけど、「なんでそこでTankadoの最後のビデオが唐突に出てくるの!」なんていうご都合主義はもはやギャグ。教会で主人公が他人を犠牲にして生き延びるシーンも興ざめ。あんなことしたらどう考えたって巻き添えになるだろうに。

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ネタバレここまで

 

とまぁ、「なんて間抜けな設定なんだ!」と思いながらN駅に到着したのだが、いつも通りリスニングしながら会社に向かおうとして、ウォークマンを忘れてきた事に気づく。・・・なんて間抜けなんだ、俺。かくしてリスニングの時間が25分減ってしまった。

 

 

昼休みに「2001 -- A Space Odyssey」を読み始める。「2001年宇宙の旅」と言った方がわかりやすいだろう。これも映画を見たことがないため、かなり楽しみ。しかし物語が類人猿時代からスタートするという、なかなか難解な滑り出しに戸惑う。洋書を読む場合、最初の20ページぐらいの間は世界観がつかめずにとても大変。このところ選ぶ本が速読トレーニング用にしては難しすぎるな。簡単に読めるレベルのものを速読してこそ意味があるのだが。

 

退社時間直前から若干の打ち合わせ。導入に関する懸念点発生。技術的には全く問題がないのだが、300km離れた新旧2拠点にシステムを同時導入する都合上、約5時間の移動時間の間、ネットワークから切り離されるのが痛い。その間にトラブルが発生しても対応が出来なくなるからだ。困った。2人のうち一人を事務所に残すべきだろうが、導入初日に新拠点に行かないわけにも行かず、かといって前日入りすれば導入コストが膨れ上がる。さてどうしたものか。

 

等といっているうちに最速の電車に乗り遅れる。また秋になってイネ科の花粉が出てきたのか、調子が釈然としない上、特急に乗ってまでバドかよとおもいつつ、気合でバドへ。行ってみたら体は軽い。楽しんできた。久し振りにガットが切れる。あわててNS8000にもちかえたらトップライトすぎてタイミングが合わない。しかし前衛が楽そうだな、このラケット。えりりんの同級生の女の子2人が今日の練習に参加していた。経験者らしい綺麗なバドをやるし、狙いどころが良い。ブランクがあるため体力がついていかないようだが、pena女子増強計画の要。面倒にならずに練習に付き合ってくれると良いのだが。31日の試合に向け30日あたりに練習日を設けるかな?

 

帰りにI am LegendのBlu-rayを返却しつつ、BABELと七人のマッハのDVDをレンタル。ヤバイな、映像漬けに戻りそうな気配。ただ、今日は朝ウォークマンを忘れたせいで英語の勉強時間がまだ180分に到達しておらず、見るのは明日以降に。夕食後に「出張!ハートで感じる英語塾」とStar TrekのDVDでリスンング。前者は名前だけそれっぽくて内容のない番組とは一線を画していて、本気で「ハートで感じる」授業。先生役の大西泰斗の著作を1冊持っているが、本当にこの人の授業や本の内容は感動的で素晴らしい。

例えば昨晩だと、to 不定詞には「目的」「結果」等々があるというけど、そんなのネイティブは考えてないよ、というもの。そもそも学校で習った分類などには当てはまらないものが多数あるのだ。で、授業では、「不足な気持ちを補うもの」という教え方をしていた。

It is easy to stady English.

She grew up to be a beautiful young girl.

I help you to find it.

1つめの文書を高校時代の自分が訳す場合は、こんな感じだった。まず、Itは仮主語。で、to stadyはto不定詞の名詞的用法で、〜する事と訳す。で、仮主語のitとto以下は同じだから、「英語を勉強する事は簡単だ」と訳す。

ところが、番組ではこんな風に訳す。「そんなの簡単だよ」と言われると「え、何が?」と聞き返したくなる。だからto以下で情報を補うと考えるのだ。で、「簡単だよ。英語の勉強なんて」と訳すわけだ。

同様に「彼女は成長したよ」→「え、どんな風に?」や「僕、助けてあげるよ」→「え、何を?」というように、言い手、聞き手の「情報の不足」を補うのがto以降と考えると、目的だの結果だの運命だの、辞書に書いてあるような分類なんて意識しなくてもさくさく訳ができる。実にシンプル。気持ちが良い。

 

 

【今日の英語学習】(11/30まで毎日書く....予定)

・リーディング(速読): 96 min

・リスニング (シャドウイング): 50 min

・リスニング (Star Trek DVD) : 24 min

・リスニング (TV) : 20 min

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 合計: 190min


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