March 24, 2009.

衣食住と漢字

火曜日。いつも通り歩く。左足の靴下が微妙にたるんで、それが踵の裏に当たって痛く、歩いていていて凄く気になる。で、靴下をずりあげるが、数歩歩くとまた、元の木阿弥になる。繰り返していて相当イライラした。モバイルPCが数百グラム重いだの軽いだので日ごろ騒いでいても、実際には本を大量に持ち歩いたりする。練習の翌日も疲れたといいつつ、気合でキリキリ歩く。気持ちよく歩く上において多少のことは意外と気にならない。しかし、この1mmにも満たない靴下が少したるんでいるだけで、気持ちよさが100%消失した。

で、思い出したのが、昨日のプロジェクトマネージャに関する話。プロジェクトを円滑にまわすために、人間の欲求レイヤを取り上げていた。最下層は食欲、睡眠欲などの生理的欲求だ。ここが満たされないと、他にどんなプロジェクト運用をしようとうまくいかないという。今回の靴下の一件で予期せずそれを実感してしまった。たとえ素敵なカバンを買って、望みどおり600g未満と超軽量のVaio Pを買ったとしても、靴下ごときがたるんでいるだけで、朝の気持ちよい時間のうち20分が台無しになってしまうのだ。なるほどねぇ。

そんなわけで少しPMの勉強を継続中。そっちの話の実現性が高まりつつあるらしいし。で、せっかくなので秋の情報の試験でPMを受けてみようかとどんな試験か調べてみた。....もの凄くハードルが高い。ちょっとびっくりした。ハードルを飛ぼうと助走したら、目の前にあったのが筋肉番付の跳び箱だったぐらいに驚いた。

しかしまぁ、その難易度の高い試験に通るぐらいの能力がないと、良質なPMとはいえないわけで、合格不合格はともかく、すぐにでも勉強を始めようと思った。突然アサインされても慌てないようにしないと。

で、PMBOKなどの解説をwebで検索していて、ある事に非常にイライラ（またか、短気だな）。それは、「進ちょく」と言う表記。「...な進ちょく管理を行う必要があり...」って、お前！小学生に読ませてるんじゃねぇぞ！！！！文部省が何をのたまったか知らんが、「進捗」ごときが読み書きできないPMなんか不要だ！そんな奴は「草なぎ剛」と書いた微妙なジャニーズTシャツでも着てアルタ前に集合の刑じゃ。

日本語ってのは、大和言葉は「漢字と送り仮名」、漢語は「漢字数文字の組み合わせ」によって成り立っていて、そのリズムで読むよう、目と脳に癖がついているわけです。漢字の後ろが助詞・接続詞以外のひらがなだと、脳がつい「訓読み」を試みてしまう。それを常用漢字から外れたとかそんな下らん理由で、一部だけひらがなに直すなど言語道断。

例えば、

「最下層は食欲、睡眠欲などの生理的欲求だ。」

って、さっきの文章が

「さい下そうは食よく、すい眠よくなどの生り的よっ求だ。」

とかになったとする、読めるか？こんなもん。

こんなあほらしい日本語を書くのは子供向けの書籍だけでよろしい。大人は気合で辞書を引けばよい。読めない漢字は「ググレ国民！ジーク・ジオン！」ってなもんだ。

大体、IT系のサイトなんざぁ

『これでPMBOK2000にあった不整合とも受け取れる部分が解決し、アクティビティ単位でコスト／期間を見積もった結果（それぞれ、コンティンジェンシー予備を含む）としてのPV（Planed Value：実行予算。ある時点における計画時の価値）のラインがそのまま「コスト・ベースライン」となり、PMBOKは全体としてアーンド・バリュー法による計画／監視コントロールを記述している文書だということがより鮮明になりました。』

とまぁ、これぐらいの文書が普通だ。判らない人には英語より意味不明だと思う。そういう内容を書き散らしておきながら、「進ちょく」ってお前、そこだけ簡単にしてどうする！！！

....すいません。興奮しました。このネタ多いですね。本気でこういう表記が嫌いなんです....。自分が文部大臣になったら、絶対全部漢字に戻します。標準が漢字。わからない人が恥ずかしそうにひらがなで書いてこそ、ネットの普及で「知恵袋」が不要となり、権威失墜しつつある、ジジ・ババの復権だと思うのですよ。だって、読めない漢字は変換できないもん。（手書き入力のことはワ・ス・レ・ロ）

真面目な話、日本語は母音が少ないので、表音文字に移行しちゃ駄目です。ある意味中国語よりも漢字を捨てちゃ駄目な言語だと思う。

ちなみに高校の同級生は、学校を遅刻した理由に「下痢の為」と書こうとして「痢」がかけず「下り」と書き、先生に「遅刻の理由が『くだりのため』ってなんなの！」と激怒されたことがある。嘘のような本当の話だ。

帰りに書店へ。秋に受験するつもりでPM試験の本を探す。お目当ての物が無く本屋をハシゴ。２件目で午後本を発見し、午前本を探しているときにようやく間違いに気づいた。今年からPM試験は春になったらしい。

ってなわけで、秋はSAを受けることにした。サービスエリアではない。システムアーキテクトだ。本を二冊購入。約5,000円也。実務ではPMを目指した知識を身に着けるつもりなので、平行になっちゃうけど、まぁ、短期にいろいろ身について良いか（楽観的）。そこ、「どちらも中途半端になるのでは？」とか指摘しない。

帰りの電車でSAの午前問題にトライ。午前問題は幾つかの高度試験で共通である。SWに合格した後２年間以内なら免除されていたのだが、随分間が空いたのでまた受験しなければならない。

で、最初の10問に大苦戦。数学的センスの必要な問題群や、細かいアルゴリズムがちっともわからない。でもまぁ、「共通問題なので色んな試験の物が混じってるから、わからない奴が多くてもしょうがないか」と思っていたら、愕然。各問題の右肩の表示を見たらSWが多い。つまり、いまSWを受けなおしても合格できないな。彼女様のシスアド受験を見ていた時にも思ったが、最近の試験は難しすぎる。

帰宅後は攻殻機動隊を見ながらPCを叩く。「亜成虫の森で」はもう、騙されっぱなしで最高。新しいミステリの形だと思う。また、何度見ても「映画監督の夢」のラスト台詞はかっこよすぎる。以下、ネタバレが嫌な人は飛ばして欲しい。バ：バトー(♂)、素：素子(♀)

バ：なぁ、たまには一緒に映画でも見ないか？

素：本当に見たい映画は一人で見ることにしてるの

バ：じゃ、それほど見たくない映画は？

素：見ないわ

バ：(肩をすくめ退場)

実に素晴らしい。振られてるのに惚れ直しそうな台詞だ。２話ともサリンジャーネタも満載で、マニアにも安心。いやはや満足した。

就寝前に布団の中で「ライラの冒険--黄金の羅針盤」の続きを見た。以下、感想。今回ややネタバレが増える傾向にあるので、ネタバレ嫌いは今日はここまで。

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ライラの冒険はこのところ乱発するファンタジ映画化作品の一つ。しかし、結果から言うと、あまり成功したとは言い難い。

まず、原作を読んでない人は完全に置いてきぼりにされる。baristaは読んでいないのだが、実際にそうなった。いや、個々の行動にはついていける。ストーリーはわかる。だが、「だから何？」と思ってしまうのだ。一つ一つのエピソードの掘り下げが足りないため、非常に薄っぺらい感じ。学芸会の劇の脚本と同じで、流れがわかるだけで、感動する点がないのだ。

例えば、主人公は何故あの女について行ったのか。「現実から一歩踏み出す」「旅にでる」といった行動には、その決意にいたるまでの葛藤が必要となる。しかし本作ではその描写が足りないため、「おてんば娘が金持ち女についていったら実は怖い人だった」程度にしか見えない。

ライラが「羅針盤」を使いこなせるようになるまでの描写も理解不能。「最初はあてずっぽう」だったはずなのに、鎧探しの際には建物の名前まで指摘している。最初から才能がある描写にして回りが驚くとか、徐々に使い方を理解する過程を書くとか、何かやり様があるだろうに。

また、ダイモンの掘り下げも足りない。「ダイモン」自身はジョジョにおけるスタンドのようなかなり面白い設定なのだが、それを切り取るとどうなるのか、切り取ったダイモンはどこかで生きているのか、消えてしまうのか、などの説明がないため、一連の事件の「怖さ」が伝わってこないし、「泣き所」が作れない。それとダイモンは人が死ぬごとにキラキラと火花となって飛び散る。ところがその描き方がアバウトで、戦闘シーンには凄惨さが感じられず、まるで花火大会だ。

映像はまぁまぁ。動物はCG丸出しで、ピクサー映画みたいだが、まぁ、ナルニアのライオンと良い勝負。ただ、ナルニアのほうが人形による撮影が多かった分、アラは目立たなかったなぁ。決して、ロードオブザリングやハリーポッターと比較してはいけない。

ライラ役の演技はなかなかだったし、二コール・キッドマンの演技はレオンにおけるゲイリー・オールドマン的で気持ち悪くてよい。ただ、こんな脚本では演技力をもてあましたに違いない。

とまぁ、そんなわけで、期待していた分ちょっとがっかり。バイオハザード２・３の方がずっと面白かった。一般人に50点。マニアに20点。子供に60点。夢見がちな少女に60点。

んなわけでbaristaからみた有名ファンタジランキングは以下。

映像ランキング

指輪⇒ハリー⇒パン⇒ナルニア⇒ライラ

脚本ランキング

パン⇒指輪⇒ハリー⇒ナルニア⇒ライラ

家族向けランキング

ハリー⇒ナルニア⇒⇒⇒ライラ⇒指輪⇒パン

映画マニア向けランキング

パン⇒⇒指輪⇒⇒⇒ハリー⇒⇒⇒⇒⇒⇒ナルニア⇒⇒ライラ

全部見終わった今、以前酷評したナルニアや指輪の出来のよさに気づいた。ファンタジって難しいのね。

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