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March 12, 2009.

ゼロの境界


木曜日。いつものようにコンビニに向かったところ、井上雅彦の特集雑誌を発見。表紙はバガボンドの武蔵。水墨調の描画が美しい。

 

中高ぐらいまでは美術系を目指していたので、絵にはいろいろ思うところがあった。その一つが境界線である。自然が作り出した物体には境界線が無い。例えば、本が机に置いてあるのを絵に表す場合、我々は紙の上に四角い線で机を書き、また四角い線で本を書く。しかし、机や本に枠線は存在しない。実際には目が枠線を作り出しているだけで、物体には面は存在しても面を囲む枠は存在しないのだ。

したがって、リアリティを追求するなら、境界線は駆逐しなくてはならない。必然的に物を「陰影」で表すことになる。所が陰影だけで物を表現することはとても難しい。大抵の場合、対象の形状からシャープさが奪われ、非常に見苦しい物となってしまう。

 

しかし、定規で引いたような正確なラインでは目で見た印象を表現できない。理由の一つは人間の目が2つあることだ。人間の目は世界を2枚の矛盾する画像で捉えている。シャープな1枚の画像は、むしろ現実感のないものになってしまう。その矛盾をキュビズムという発明で平面に置き換えたのが天才ピカソである、いまさらここに書くまでも無いことだが。

もう一つの理由は人間の目が瞬間を切り取っていないことだ。人間の目の解像度は実はかなり低い。しかし動的にピントを合わせた何十枚もの小さな映像を4次元的に脳内で再構築することで、あたかも非常に高解像度なカメラで撮影したかのような「印象」を作り出しているだけである。したがって、「注目していない部分まで鮮明な映像」という物を不自然に感じてしまう。

 

恐らくこれら2つの理由が、被写界深度の浅い一眼レフの「ボケ味の美しい写真」を美しいと感じ、逆に絞り込んで「全体にピントを合わせたポスター的な写真」にあまり魅力を感じない理由だろう。したがって絵画においてもこの「ボケ」を再現してやる必要がある。

写真においてはフォーカスポイントの映像が非常に鮮明であるために、ボケが現実味を表現しうる。しかし、絵程度の鮮明度では、ボケとのコントラストが弱すぎる。結果、同じ手法で現実味を表現するには絵をもの凄く高精細にする羽目になってしまい、現実的ではない。

 

しかし、昨今の井上氏の水墨画調の絵は、この現実感の獲得に成功しているように思えてならない。精細なところは精細に、それでいながら略すべきところは大胆に略し、墨の濃淡やにじみがテクスチャを作り出すことで、デフォルメとリアリティをしっかり表現できているように思うのだ。濃淡やにじみが「左右の目」を再現し、デフォルメが「注目」を再現している。

「単なる水墨画じゃないか」「漫画と呼べない」と言われればそれまでなのだが、あれほど「鮮明でありながら、整理された絵」というのは、水墨画でも漫画でもあまり見たことが無い。

 

そんなわけで、井上氏の絵を見ると、見とれてついつい動きが止まってしまう。今日もトイレを我慢したまま、10分以上本を眺めてしまった。ただし、表紙以外の本の内容は対談ばかりで、作品が殆ど掲載されていなかったため買わなかったけれど。

で、結果として今朝は、「うぉーーーー、トイレ大ピンチ〜!!!!」って感じで会社に向かう羽目になった。もしなんかの障害でエレベーターが止まったら死んでたな。(そんなオチか)

 

 

夕方に客先に向かい打ち合わせ。システム改修を抑えるXXX万の提案だったが、実作業を考慮してXXXX万の見積もりを出すことに。これは明日以降に再設計予定。もう一つ、こちらが提案した高速化対応は高評価。こちらも抜本的なほうでやらせてもらえそうなので、正確な見積書を提出することに。しかし、手が足りなくなりそう。

いまは随分手が空いているが、来月あたりから毎月0.5人月程度のプロジェクトが入りそう。つまり、4時間はそれに取られる。それと平行して9月稼動のシステムの話があったが、これが7月に前倒しかも。で、今日の話が両方GOになると、一人で3プロジェクトぐらいを同時にまわす羽目になる。PMとしてまわすなら3プロジェクトは普通だろうが、SE/PG兼用で3プロジェクトは死亡遊戯だな。アチョアー。

 

帰りのJRのタイミングがイマイチでN駅についたら8時過ぎ。そこからビックカメラを覗きに。ちょっとルンバに興味があったので(踊るわけではない)。で、帰りにVaio Type Pを弄っていたら店員が寄ってきた。しかしちょっと会話の内容にうんざり。以下、()内はbaristaの心の中。

店:「どうですか?性能はお墨付きですよ」

B:「そうですか」(お墨付きって、ネットブック程度でか?しかもAtom520なんて通常のネットブックよりCPUが遅いのだが)

店:「しかもこの機種はグラフィックチップを内蔵しててパワーポイントなんかにもさくさくですよ」

B:「あれ、ムービー以外も速いんでしたっけ?」(おいおい、Atom520のマザーにたまたま動画のハードウェアデコード機能がついてるだけで、別途積んだわけじゃないし、動画以外の描画はむしろ他の奴より遅いんじゃなかったっけ?まぁ、誤解してるだけかもしれないから、あまり厳しいことは言うまい)

店:「・・・」

B:(・・・無言かよ!)

店:「これなら軽いし、Wilcom加入とのセットでお安くなりますよ」

B:(君、俺と会話する気ある?)

 

ってなわけで、こちらを素人と判断し、「Sony製品だから高速だ!」「わぁ、セットで安くなる!」と誤解させて買わせようという彼の説明にカチンと来たのでちょっとイジメ。

(プロパティ画面で、CPUの型番を表示させながら)

B:「いや〜欲しいんですけどねぇ。でも買うならCPUをAtom540に乗せかえますねぇ」

店:「あ、あぁ、それならオーダーメイドモデルの方ですね」

B:「でもあれですよね、OSがVistaってのがイマイチですよね。これWindow7モデルとか出ないんですかねぇ」

店:「えっと、Sonyの人は結構そういう話は教えてくれるんですが、まだそういう話は」

B:「まぁ、7がいつ出るかは確定じゃないですもんね。そりゃSonyも話は出来ないでしょうけど」

店:「まぁ、夏ぐらいという噂もありますが」

B:「リリースキャンディデートが8月って話なんで、まぁ、それ以降だと最速で9月でしょうけどね」

店:「・・・・」

B:「いやぁ、どうもありがとうございました」(と立ち去った)

 

多少は反省してくているとよいのだが。きっと「しまった、詳しい人だったか...」ぐらいだろうなぁ。知識の少ない人にしつこく付きまとわれたときは、「あぁ、僕こっちの業界なんで」とやわらかく説明を断るのだが、明らかに騙して売ろうという口調にちょっとカチンと来た。そういうビックカメラ店員の売り方で、一番迷惑をこうむるのはSonyだと思うのだが。

 

帰りの電車で「陽気なギャング〜」をほぼ読了。後もうちょっと。残りの時間はもう1個のサイトの編集。凄い勢いでコンテンツを書いております。早く公開したいところだけど、誤字脱字の修正がまだだったり、もうちょっと画像を準備したかったり。家で落ち着いて作業する時間が足りないので..。

23時前に帰宅して、ご飯を食べながらサイト構築。布団で少し続き。調査も少し。そこで力尽きる。


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