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March 6, 2008.

創造と利率


寒いが天気のいい朝。6時45分には家を出るため、軒先の空の明るさに季節を感じる。寒さのピークは二月だが、冬至は十二月なのでそろそろ明るくて当然か。地下鉄の階段を登ると澄み切った青空。春分は近い。

子供の頃、春分の日と秋分の日に新聞が休みだったため、なんとなく頭の中で「新聞の日」というイメージを持っていた。春分・秋分という言葉は知っていたのだが、何となくそういう語呂あわせで新聞を休みにしていると思っていた。3月3日が小学校の創立記念日で休みだったため、中学に上がるまではひな祭り=祭日だと思っていたし。今思い返すとなかなか短絡的で面白い。

 

あまりの仕事の退屈に、とうとう叩きつけてやった。有休届を。辞表ではないです。これで三連休。しっかりいろんなものの進捗を進める方向に使いたい所。まぁ、映画等を見てのんびり過ごしてもいいのだが、無為に時間を過ごしてしまうのだけは勿体無いので避けたい。

ちなみに納品(客先端末への導入)は火曜日になった。設計・開発・試験まで一人でやっていて、要求分析を行なったPMは、設計書に目を通した以外は完成品に触ったことすらない。信頼されていると言えば聞こえがいいが、正直信じられない精神だ。人間は必ずミスをするモノなので、開発者以外の人間の手によるチェックは必須だと思う。社内システムだからどうだって良いのだろうが、「導入前に自分で触ってみたい」と思わない人間がこの業界にいることが脅威だ。批判ではない。驚いたと言う話。

 

笠井晶次郎さんという最近お気に入りのモデラがいる。「ふんどし入れ歯サイボーグ」や「土方殺人拳」の造形は絶品。人体の老いだとか弛みだとかの表現が本当に美しい。コンテンポラリな芸術作品だと思う。それでいてキャッチーで娯楽作としての魅力も失っていない。この人、女性を造形しても、筋肉質でややぽってりしていて、童貞オタクが作るアイコン化されたアニメ的表現とは一線を隔した、ボッティチェッリ的表現をするのだ。で、その人の日記「直撃!地獄日報」が激面白いのだが、その中で取り上げられていた、モデラ仲間から読みなさいと渡されたという、ロダンの手記の一文が素晴らしかった。

「自分の彫刻のうちに甘く出来きらない部分があるのは知っているが、公衆がそれに気付くものか、また今度やることにしよう、と考えるようではなりません。公衆がそれを認めなくても、自分自身が認める。困難をごまかす習慣がついてきて、投げやりな彫刻で満足するようになり、やがてまるで悪い彫刻になって来ます。自分の良心と妥協してはなりません。なんでもないというほどの事でもです。後にはこのなんでもない事が全体になってきます。」

これは彫刻に限った話ではない。99%の仕事をすると次も99%で良いかと言う気持ちになる。0.99のn乗を計算すると、限りなく0に近づく寸法だ。100で良い局面で101出してみようと言う貪欲さが必要なのだな。人生には。うっかりすると自己否定になりそうなので、静かに心に刻んでおこう。人生は利率こそ小さいが複利運用だ。


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