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January 16, 2008.

オフィシャル作者登録難航中


先日より辞書アプリの開発をやっている。TOM氏には「完成するまで内緒」と言ったが、過去の日記に何度も書いていた事を思い出したので、別にオープンでも良いや。英辞郎のデータを携帯で検索するアプリだ。PC上での開発は、現在α版ができつつあり、今月末〜来月半ばには完成の予定。しかしまだ実機で試した事がない。SDメモリ内のデータにアクセスする必要があり、これまでの一般開発者ライセンスではなく、オフィシャル開発者ライセンスが必要となるためだ。

運転免許書のコピー等を送付し申請したところ、開発目的などの確認メールが届いたため、「英辞郎形式のデータを検索する辞書アプリの開発」を謳ったところ、事務局側から難色を示された。「英辞郎のデータを扱うのは著作権違反ではないか?」、「フリーのデータを扱う物でなければ認められない」と言うのである。

 

英辞郎は辞書ではない。辞書データである。データのみを販売しており、検索ソフトは各自が準備するという利用方針だ。データは「個人の利用するPC、携帯端末上での利用が可能」とweb上で説明されている。したがってPC、携帯、PDAなどで動作する様々なフリーウェア、シェアウェアが開発され、いくつかは英辞郎の公式サイトからリンクされている。baristaが開発中のアプリは、データを同梱するものではなく、各人が購入したデータを閲覧するだけのものである。したがって今回開発しようとしているアプリに問題は無いはずだ。

 

そもそも、著作権が保護しているのはデータの配布権や複製権、上映権、著作人格権などである。個人が購入済みのデータをどのアプリで閲覧しようとかまわないはずだ。音楽データを再生するアプリが、「再生することで著作権侵犯だ」と訴えられたという話は聞いたことがない。例外的に、特殊な技術により暗号化されたデータを複合化する場合には該当する可能性がある。DVDのリージョンコード無視再生を実現するような場合だ。ただし、テキストの平文を表示する行為がその例に該当する可能性は0だ。今回の事務局側からの指示は「貴方の音楽プレイヤを著作権フリーの曲しか再生できないものにしないのであれば、著作権侵犯なので認めない」と言っている様なものである。

 

携帯で検索可能なようにする為に、ファイル分割など元データに変更を加える必要がある。さらに、不要な読み仮名データなどは除外した形で携帯に送りたい。この点で「データのコピー行為」とみなされる可能性はある。しかし、PCまたは携帯端末での利用を許されているという事は、両者にCDドライブがついている保証は無いため、「CD-Rから利用端末にデータをコピーする行為」は許されるはずである。その際必要なデータだけを抽出コピーする行為も当然許される筈なので、ファイル分割、不要データの削減なども特に制限されないだろう。例えば、小説を購入して、それをコピーして読むのは著作権侵犯の可能性があるが、読みやすいよう10ページずつ破って持ち歩いて、読んでも文句を言われる筋合いはない。

 

とりあえず、「英辞郎の公式サイトに、検索ソフト開発者用の質問メールアドレスが準備されているため、許可を取ってから開発をする」という話と、上記の内容を10行程(!!)の箇条書きにまとめた内容を事務局側に返信したのだが、果たして許可が得られるだろうか。前回は英辞郎自身に対する知識が事務局側になかった、あるいはbaristaの説明が不足していたために、許可が出なかっただけだと良いのだが。

 

長々と書いたが、事務局側の方に不満があるわけではありません。非常に丁寧に、回避策なども含め指導いただいており、対応にも全く不満はありません。ただ、こういう業界でも、著作権に関する認識は統一されていないのだな、という、長い長い溜息でした。

 

 

 

【著作権あれこれ】

誤解されがちだが、現在の日本における著作権に申請などは全く必要が無い。Copyright (c) 2008 barista. All rights researved.等という表記を見かけるが、これは昔の慣習であり、表記の有無にかかわらず、創造性のあるものを作成した時点で権利は自然発生する。また、偽名(ハンドル名など)であっても本人である確認が取れれば問題ない。したがって、子供の描いた絵が可愛いからといって、子供に無許可で新聞に投稿したりすれば、立派な著作権の侵犯である。

 

また、小説や楽曲の内容などには著作権が存在するが、タイトルには認められていない(現在の日本において)。例えば「I love you」など、同じタイトルの曲が沢山あるのはそのせいだ。しかし、B'zの「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」や岡村靖幸の「あの娘僕がロングシュート決めたらどんな顔するだろう」とか、BEGINの「それでも暮らしは続くから全てを今忘れてしまう為には全てを今知っている事が条件で僕にはとても無理だから一つづつ忘れて行く為に愛する人達と手を取り分けあってせめて思い出さないように暮らしを続けて行くのです」なんかは、いくらタイトルが保護対象外とはいえ、さすがに真似する事はためらわれる。

小説タイトルの有名どころなんかだと、短くても真似しがたいものがある。さすがに「すべてがFになる」とか「ノルウェイの森」なんかを真似する気にはならない。ましてや、「魍魎の匣」「鉄鼠の檻」なんて4文字でも絶対に真似する気にはならない。勇気のある人は同じタイトルで100ページとかの薄いライトノベルなんかを書いてみるのはいかがだろうか。「(あらゆる意味で)薄い方の魍魎の匣」などと呼ばれる事は請け合いだ。


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barista:昨日は事務局からの返信無し。OKで手続きに入ったのか、NGで無視されているのか.... -2008/01/18 09:00:44

barista:英辞郎データ利用は著作権上問題は無かったけど、ソフト開発上は商標権に問題がありました。EDPさんに利用許可を頂いて開発する事になりましたけど。 -2008/05/13 14:00:22


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