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暖房・給湯器具一覧 - エコウィル

発電機付きガス給湯機の一種です。正式名称は「家庭用ガスエンジンコージェネレーション付属補助熱源機」というあたりでしょうか。ガスエンジンで発電を行った際の廃熱を利用してお湯を沸かし、貯めておくことで、エネルギーの有効活用を狙った商品です。要はガスから電気と熱の両方を得る装置です。


仕組み

利用時間によって動作順は崩れることもありますが、理想的な動作時の仕組みを以下に記します。

・夕方など電気を沢山使う時間帯にガスエンジンで発電

・発電時の廃熱を有効活用して湯を沸かし、タンクに貯める

・タンク内のお湯を利用し、給湯

・タンクのお湯が足らなくなったら、直接湯を沸かす

・発電量が使用電力量を超えた場合、あまった電気も湯を沸かすのに用いる


利点

理想どおりに行けば、ガスによる効率よい給湯と同時に、仕様電力の一部を賄うことができ、光熱費・環境にメリットがあります。また、オール電化&エコキュートと異なり、ピーク電力量を下げる方向に作用するため、環境にやさしいと評価されています。そのため、国からの補助金の額も高めに設定されています(エコキュートが4万円程度なのに対し、エコウィルは13万円程度)。また、ガス料金の割引が効く場合があります。

タンクの湯を使い果たすと湯切れを起こすエコキュートと異なり、タンクの湯を使い果たしたら通常のガス給湯を行うため、湯切れ等は発生しません。そのため、全館床暖房などに威力を発揮します。


欠点

「家に帰ったら即お風呂に入る」といった行動をとると、その場でお湯を沸かすことになり、「発電中の廃熱利用」モデルが崩れてしまいます。そういった利用に対応するため、いつお湯や電気を使うかを学習して、効率よい発電・貯湯を行う機能がありますが、生活が不規則な人には向きません。

また、湯沸し中に発電している電気が使いきれない場合、電気は貯めておくことができないため、湯沸しの補助にまわされます。しかし、その際の熱効率はエコジョーズより低い物になってしまいます。逆に電気をガンガン使っている場合、発電機の効率の都合上、電気よりも熱を沢山産み出してしまうため、貯湯タンクがいっぱいになった時点で発電は停止されてしまいます。

機械がまだ高いうえに、発電した電気を使えるよう配電盤にまで手を入れるせいで、設置費用が高めなのも欠点です。また、ガスエンジンの音がそれなりにすること、エコキュートほどではありませんがタンクが必要な分、設置面積が大きいのも欠点です。そのため戸建て住居向きの製品となっています。

理想的に動作した場合、エコジョーズよりランニングコストは下がりますが、エコキュート&オール電化には遠く及びません。また、お湯を使わない季節には発電が行われないため、夏の効率は低めです。


その他

エコキュートの対抗馬として登場したエコウィルですが、経済性はまだまだのようです。「エコジョーズより安く全館床暖房を実現できればいいや」といった性能重視の方や、環境性能を重視する方には向きますが、経済性を考えて選ぶシステムではないように思います。とはいえ、従来給湯器に比べれば経済性のメリットもありますけど。

また、大量にお湯を使う場合に威力を発揮するシステムですので、寒い地方に住んでいる方に向いたソリューションだと思います。ただし、仮に全館床暖房にするとしても、ランニングコストだけで比較するなら、エコヌクール等のほうが上です。エコヌクールの低温のお湯では効率が悪い程の寒冷地の場合なら、灯油式床暖房が一番安いでしょう。使い勝手は都市ガス+エコウィルの方が上ですが。

また、誤解されがちですが、エコウィルや最新のガスキッチンは停電すると使えません。「災害時のリスク分散を考えるとオール電化は危ない」という人がいますが、そういう人は旧来の電気を使わない給湯器やキッチンを導入しましょう。そう、エコウィルの発電機は停電時には動かないのです。惜しいなぁ....。

まとめてみたら、結果的にあまり良い事を書いてないですが、考え方の方向性は素晴らしい商品だと思います。今後発電効率の向上や、あまった電気の使い方(太陽光と同様販売するなど)の整備などが進めば、良い選択肢になってくるのではないでしょうか。