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チョコレート・バトラー

監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ/ 原作:/ 29点

■日本映画界は誰特な嘘をやめるべき

 

チョコレート・バトラーはチョコレート・ファイターで有名となり、続くチョコレート・ソルジャーでも主演だった究極のアクション女優、ジージャー・ヤーニンが主演をしている……かのようなパッケージで騙される、「ジージャー・ヤーニンもちょっとだけ活躍するアクション映画」である。

 

……もう言いたいことの半分ぐらいは書いた気がするが、もうちょっと怒りを発露してから内容の評価に移ろうと思う。前作チョコレート・ソルジャーのレビューにおいては、「前作が売れたからあやかろうって考えで、前作と内容的に全く関係がないのに『チョコレート』を冠するタイトルにした事」に対する怒りを書き綴ったが、今回はもっと酷い。

本作品の内容は「タイで頑張る韓国人のテコンドー家族が巻き込まれた事件をめぐる顛末と、それを通して描く家族愛のホームドラマ」であり、ジージャーは彼らがとある理由で疎開した先に住む姪っ子か何かであり、ぶっちゃけちょい役である。にも関わらず、映画の原題である「The Kick」を勝手にチョコレート・バトラーなどというセンスの欠片もないタイトルに変更したのだ。しかも日本版のDVDパッケージ上ではジージャーが写真の9割を占めている。無論、配給会社の確信犯であることは疑いがない。

そもそもいくらチョコレート・ファイターが売れたからといっても、こんな糞マイナーな映画やジージャーの名前を知っている人間なんて、日本人の0.1%未満である。残りのメンバは、チョコレートだのジージャーだの書いたって、「なんだか知らないマイナーなアクション映画」としか思わず、絶対に見ないだろう。そして0.1%未満の人たちは、「タイトルで騙されて映画を見たけど、何となく面白かったから良いや」などと感じるようなスウィートな客層ではない。ジージャーの名前を覚えているアクション映画ファンなら、「ジージャー並みに動けるテコンドー少年と、めちゃくちゃ体が柔らかくてモデルみたいに手足の長いテコンドー少女が主演の映画に、ジージャーもゲスト出演!」って書いてくれた方が100%喜んでくれるはずだ。

 

ってなわけで、映画の点数以前の問題として配給会社の対応にゼロ点を付けたい。上記のようなジージャー押しをしておいて、日本版のDVDにはジージャーの出演箇所が少ないって点も含めて、表面だけの愛情のない対応だと認定せざるを得ないからだ。

 

閑話休題。じゃぁ、映画の内容はっていうと、その、なんだ。あれだわ。とにかく脚本が酷い。アクションの素晴らしさを台無しにするために頑張っているんじゃないかってぐらいに、めちゃくちゃ酷い。もうちょっと何とかならなかったものか。監督はファイターと同じくピンゲーオ監督に戻っているので、脚本家の問題なんだろうなぁ。とはいえ...。

 

以下、脚本に関する全面的なネタバレ。

 

ってな感じで、タイトルやパッケージの騙しがなければ、ゆるい脚本に本格アクションという香港映画路線が狙えたのに、タイトルとパッケージのせいで、いつジージャーが出るんだ!とストレスを貯める前半にストレスが解消されない後半。何故かぬるい笑いの空気って感じで損しまくり。冷静に観たら長男長女のアクションは超絶なのに、なんだかハイキック・ガール!の悪夢が蘇った感じの作品だった。

 

唯一の救いは、ジージャーのヘアスタイルが元に戻って可愛くなった点ぐらいか。ジージャーは顎の輪郭を隠すようなパーマ・黒髪の方が絶対可愛い。チョコレート・ソルジャーのあの髪型は無いわ〜。