攻殻機動隊 S.A.C. episode 9 ネットの闇に棲む男 CHAT! CHAT! CHAT!
監督：神山健治/ 原作：士郎正宗/ 92点
攻殻機動隊 Stand Alone Complex episode 9
- complex episodes：ネットの闇に棲む男 CHAT! CHAT! CHAT!
■フィルム使い回しの時間稼ぎ...ではない！！
一言で表すなら「笑い男事件について語る未来の２ちゃんねる」を映像化した物である。物語は「視覚素子は笑う」「マネキドリは謡う」「模倣者は踊る」によって語られた、「大堂暗殺事件」によって「笑い男」の再来に興奮したネットユーザー達のチャットのシーンによって描かれる。
途中過去の様々な事件の解説の為に、「過去の映像」が流されることとなるが、本エピソードを、よくある「動画が間に合わなかったから、過去の回想シーンでごまかす」回だと思って観ていると、痛い目を見ることになる。本作は、これまで名前しか出てこなかった「笑い男事件」のあらましを解説する、非常に重要な情報源であるとともに、これまでに登場した布石の回収に加え、更なる謎の提示もなされるという、実に内容盛りだくさんな回なのだ。
実は映像的にも実に面白い回で、未来のチャットルームの映像化としては他に類を見ないほど現実味のある描写である。背景でROMっている連中のつぶやきなども実に面白い。回想系のエピソードなのにいつもより手間がかかっているのではないかと思ってしまう。
さて、大事だと思える会話について順に説明していこうと思う。以下完全なネタバレとなるので注意。
ネタバレ1
話題の焦点は幾つかある。以下に列挙してみよう。
��6年前の一連の事件は単独犯によるものか？笑い男の目的は？今回の事件は笑い男によるものか？その目的は？
�▲淵淵�は笑い男だったのか？→計画の急な変更
�Ｍ恐�事件、暗殺未遂事件の後に起きた現象の正体は？
もっとありそうな気もするが、とりあえずこれぐらいで。
まず�，砲弔い董�
参加メンバは笑い男を英雄扱いするものがいる一方、その目的が良くわからない事、行動原理に統一性が感じられないことなどにも気づいている。一般的には企業脅迫を行う、企業テロが笑い男のスタイルのように語られているが、そもそも最初の事件は、義侠心によると思われる瀬良野氏の誘拐であり、断じて「クールな」企業テロではなかった。
ほぼ全ての事件に共通するのは、天才的なハッカーによる犯罪であるという点のみである。また、「笑い男」という名前も、ポップなロゴを見たメディアによって名づけられたものであり、本人がそう名乗ったわけではない。そのため、彼らは複数犯による犯行である可能性や、2つ目以降の事件が全て模倣犯によるものである可能性も考えている。
「フリークス」を名乗るだけあって、彼らの情報網は広く、着眼点もなかなか鋭い。例えば、最初の事件において、天気予報のマークが書き換えられれている点を「凝っている」と評価するものがいる一方、「それは再放送以降に書き換えられた」と指摘するメンバも存在する。実際その指摘は正しい。実は、第5話「マネキドリは謡う」において、素子がガールフレンドの部屋で「当時の」録画を確認した際の映像では、天気予報のマークは笑い男マークに書き換えられていない。
また、彼らは既に事件による株価の動きや、公的資金の投入など、何らかの巨大な力が、裏から全てを牛耳っていた可能性についても検討している。ただ、それがオリジナルの笑い男によるものなのか、別の存在によるものなのかについては、判別できずにいる状態なのだ。
次に�△砲弔い董�
ナナオが笑い男だったという説、複数犯で足切りされたという説、模倣犯だったという説などが俎上に上がっている。ここで重要なのはベイビールースによる、ナナオのサーバ内容の説明。彼の説明により、ナナオがかなりいろんな犯行シミュレーションをやっていたにもかかわらず、急遽予定を変更して、シミュレーションにない、今回の大堂暗殺ミス未遂事件を起こしたという事実がはっきりする。
「マネキドリは謡う」の「あの犯行予告、俺がやったんじゃねぇけどな」というナナオの台詞により、視聴者には既に認識されていた事実であるが、ここでようやく素子の認識する所となったわけだ。ただし、「俺がやったんじゃねぇ」発言は聞いていないため、ナナオ≠オリジナルとの結論には至っていない。
最後に��について、６年前の事件は大きく３つに分けることが出来る。オリジナルによる最初の誘拐事件、誰かに仕組まれたとしか思えない企業脅迫、そして、椅子を並べたりミステリーサークルもどきを作ったりといった、愉快犯、模倣犯の類だ。
一方の模倣者は踊る MEMEにも同じ構造が適用できる。オリジナルと思しき笑い男からの犯行宣言、ナナオによる大堂暗殺未遂事件、そして模倣者たちによる大堂暗殺未遂事件である。
素子が事件直後に「別のリアルが」と語り、本エピソードで「6年前の誘拐と今回の暗殺予告の直後に連鎖的に起こった現象が...」と語っているのはこのそれぞれの3つ目の犯行のことである。誰かに命じられたわけではないにもかかわらず、意図せずして模倣者となってしまうという現象のことだ。詳細は最終話たりで出てくるので、ここではここまでの解説にとどめる。
とまぁ、ネタバレ内に長々と語ったような、非常に複雑な事件のあらましの理解を助けるために、本エピソードは非常に重要なのだ。映像的に動きが少ないからと気を抜くことなく、しっかり復習していただければと思う。
実はこの事件の全貌にはいくつものモデルがあるのだが、ここで説明するより、後で説明したほうがわかりやすい気がするので、また後の方のエピソードで....。
付録：
以下、元ネタなどに関する説明。
■世の中があいも変わらず退屈で糞ったれ：ホールデンの台詞のパロディ。笑い男の行動をホールデンの台詞で説明しているのだから、ある意味メタな台詞とも言える。
■オンバ：OmbaはJ.D.サリンジャーの短編小説、The Laughing Manにおける「笑い男」の忠実な仲間の名前である。
ネタバレ2
そのことを知っていると、オンバが実は笑い男の正体がAOIであることを知っているという事実がなんとなく想像できたりする。
攻殻機動隊 Stand Alone Complexに関する記事一覧はこちら ＞＞
Copyright barista 2010 - All rights reserved.
![【25%OFF】[DVD] 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 05](http://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/?pc=http%3a%2f%2fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2f%400_mall%2fguruguru-ds%2fcabinet%2f950%2fbcba-1395.jpg%3f_ex%3d240x240&m=http%3a%2f%2fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2f%400_mall%2fguruguru-ds%2fcabinet%2f950%2fbcba-1395.jpg%3f_ex%3d80x80)
![NINE STORIES(A)[洋書]](http://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/?pc=http%3a%2f%2fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2f%400_mall%2fbook%2fcabinet%2fjan_9780316%2f9780316769501.jpg%3f_ex%3d128x128&m=http%3a%2f%2fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2f%400_mall%2fbook%2fcabinet%2fjan_9780316%2f9780316769501.jpg%3f_ex%3d80x80)
