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少林少女

作者:本広克行/ 原作:/ 3点

■表面だけ真似ても駄目

 

少林少女はマルチタレントな女優である柴咲コウを主役に、最近邦画界では名悪役と化しつつある仲村トオルを敵役に、脇役には少林サッカーにも登場していた二人や、アクションでもコメディでも活躍が期待できる岡村隆史を起用して撮影された、痛快格闘コメディ映画...を目指して第失敗した作品である。このメンツで正視に耐えないぐらいに面白く無い作品が作れるのだから、これはちょっとした才能である。駄作だと方々で叩かれていたけど、まぁ、楽しれれば良いのではと借りてみたら、どこにも楽しさが見いだせないという鉄壁の守り。もう既に書くべきことは書いてしまった気がするが、じゃあなにが気に入らなかったかってのをもうちょっと書こうと思う。

 

結論から言えば、とにかく脚本の出来が悪いの一言に尽きる。

 

以下、ネタバレかつ本広監督ファンには許せないような表現が多発すると思うので、読みたくない人はクリック禁止。

 

とまぁ、ネタバレ内に書いたように、脚本に褒めるべき点はゼロ。言いたいことは他にも山のようにあるのだが、時間をかけて説明するようなジャンルのものではないので割愛。「ここが欠点」じゃなく「全体的に良い所がない」のである。

 

その他映像も実につまらない。格闘映画なのに格闘が軽い。ワイヤーで派手にすっ飛ぶのは構わないけど、他の技も全部何もかもが軽い。ちっとも戦っているように見えない。こんなんだったら、俳優なしで全員CGでもいいじゃないか。

しかもそこまで現実味がないのにめちゃくちゃ地味なのだ。現実味がないなら非現実的な速度で動いたり物を破壊して回って、カンフー・ハッスルみたいにしてしまえばいいのに、効果がうまく使えているのは少林サッカーの二人が登場したシーンだけ。しかもそれ以降の戦いはどこの子供のケンカかというぐらいにグダグダ。

挙句、CGを使ったと思えば光の線とかを書くばかりで実際にからだは動かない。早回しでもなんでもいいから手足を動かさないと格闘映画じゃないってば。顔の表情と適当な光でごまかすって戦闘描写は典型的な、安いジャパニメーションの安い戦闘シーンの特徴である。アニメファンを自称するのは自由だが、あんな安い表現を採用して押井ファンや庵野ファンを名乗るのは辞めていただきたい。

 

 

本広監督って名前はよく聞くけど誰だっけ、と思って調べたら、「踊る大捜査線」や「西洋骨董洋菓子店」の監督だった。あれれ、テレビは面白かったのになぁという感じ。多分この監督、非現実的なものを描くセンスはないのではないかなぁ。或いは映画っぽさを出すのが苦手?とりあえず、ちょっと意外だった。

 

 

んなわけで、脚本が酷い上に、主人公が格闘技の素人という、困った作品。これを観た後だと、ハイキック・ガール!は結構まともだったなぁ。ラジー賞まっしぐらのC級作品。