洋菓子店コアンドル監督:深川栄洋/ 原作:/ 69点
■主人公に本気でムカついてしまうのが難点
洋菓子店コアンドルはある少女が本気でお菓子作りを学び始めるまでの物語である。非常に有りがちなテーマではあるが、良くも悪くも有りがちなアプローチではない。後半戦は結構気持ちいい展開なのだが、前半に凄くイライラするので、果たしてそこが乗り越えられるかが勝負の映画だと思う。とはいえ、そういう視点で見ちゃうのはこっちがいい大人だからであって、これから菓子職人を目指そうというジュヴナイルな視聴者層にはこれぐらいの設定がちょうどいいのかも知れず、評価を悩むところではあるが。
東京で最近話題になりつつあるパティスリー・コアンドルに奇妙な鹿児島出身の少女「なつめ」が訪れる。彼女は以前コアンドルで働いていたという恋人「海」を訪ねてきたのだという。しかし、海はとっくに店を辞めており、行き先もよくわからないという。 行き場を無くしたなつめは、海を見つけるまでの間住み込みで働かせてくれと頼む。素人はお断りだという店長に対し、「私の実家はケーキ屋だったから!」と宣言し、ケーキを作ってみせるなつめだったが、その味は安くてそこそこといういわゆる大量生産ケーキであり、とてもじゃないが一流のパティスリーでやっていけるような腕ではなかった。
さて、上記のような経緯にもかかわらず、無理やり働かせてもらうなつめ。彼女は意地悪な先輩や謎の常連客、伝説のパティシエと呼ばれたにもかかわらず、何故かお菓子作りを辞めた男、十村などの間で右往左往しながら、やがて本気でパティシエールを目指すこととなるのだ。
ただ、冒頭で語った通り、本気になる前の彼女にイライラする点が多々。以下、序盤の展開についてのネタバレ。
と、まぁ、上記ネタバレに語ったように、ストレスの貯まる点も多々あるし、ストーリーは正直予想通りの展開に進むのだが、それでもなんか見させられてしまう映画である。なんでだろうと考えてもよくわからないのだが。映像が好みだったせいかもしれない。あとはお腹が空いていたとか。
あと、十村の凄さを魅せつけるシーンも気に入らなかった。アレは逃げだと思う。以下完全なネタバレ。
とまぁ、ネタバレ内に酷いことをたくさん書いたのだが、それでも何だか魅せられちゃった映画。特に最後のワンシーンの、見きれたところでドアを閉めるカットは非常に良かった。……ってことは、だ。結局、映像の勝利なのかもしれんな、これ。
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