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グラスホッパー

作者:伊坂幸太郎/ 原作:/ 69点
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価格:620円(税込、送料別)

■トリッキーで面白いけど喉越しがもうひとつ

 

グラスホッパーは殺し屋たちが互いを殺しあうエンタメ作品である。先日マリアビートルを読んだ後に、「実は本作品とシリーズ物だ」という情報を得た。「それはイカン。読んでみなくては」と、手にとったものの、何だかどっかで見たことのあるタイトル。10ページぐらい読んでみて気づいたけど、前に一回読んだことあるわ、これ。そんなわけで、再読による評価なので、若干辛い目の点数かも。

 

以下、ざっくりとした構成に触れます。

 

本作品の主人公たちは裏の世界の住人ばかりなんだけど、その内のひとり、鈴木はややウェットな生い立ちを持つ、主人公クラスのキャラクタである。要は悪いヤツのせいで妻と子供を失って、復讐のために裏の世界に入って、って人だ。なので根っからの悪人ではないため、行動がまどろっこしい。わけのわからない事件を起こす。

その他の殺し屋達はプロ中のプロばかりで、押し屋、自殺屋などバラエティに富んだ面々が登場する。そしてそれらのキャラクタたちが、伊坂作品に特有の視点がコロコロ変わる方式で、互いを牽制しあい、殺しあうわけだ。

 

この辺りまでの説明を読む限りは、マリアビートルと全く同じ構造にしか見えないんだけど、ただ読みやすさは大きく異なる。以下、ややネタバレのため注意。

 

上記ネタバレ内を読むと、何だかこの作品が悪いかのように見えるがそうではない。この作品の後、三年後に書いたというマリアビートルが如何に進化した素晴らしい作品であるか、という事が言いたいのである。なので、どちらもまだ読んでいないという読者はぜひ先に本作品を読んで、そのあとでより進化したエンタメ作品、マリアビートルに手を出していただければと思う。