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タイタンの戦い

監督:ルイ・レテリエ/ 原作:/ 70点

■主役はメデューサ(個人的に)

 

「タイタンの戦い」は1981年の同名の映画作品をリメイクしたものである。物語はギリシャ神話を扱ったもので、本作品中に採用されているのは、ペルセウスの誕生から、メデューサの首を使ってクラーケンを倒し、アンドロメダを救うまでの部分である。あまりにも誰もが知っている物語であるため、ストーリー的にドキドキさせることは不可能であり、そういうアクション映画として大事な部分は、純粋にアクション的なドキドキ感だけで構成している。大変だよね実際の所。

本映画の監督は「トランスポーター」で有名なルイ・レテリエ監督である。ルイ・レテリエ監督作品の良いところは、良い意味でのいい加減さである。本作品でもそれが遺憾なく発揮されており、脳みそを使わなければ非常に面白い作品になっている。そのへんは、偉大なる原作に引きずられて、視聴者の体力を無駄に奪い続けた某作品とは大きく異なる。一方、見終わって心に残るものは殆ど何もない。

 

なおこの映画費用的な問題で、CGによる擬似3Dで公開されたらしく、その立体映像はあまりいい出来ではなかったらしい。しかし2Dブルーレイで見る分には十二分に美しい映像が楽しめる作品である。特にメデューサの映像は最高に美しかった。本来なら、恐ろしい魔物なのだろうけど、事前に登場人物の一人がメデューサがあの姿にされてしまった理由を説明してくれたお陰で、彼女にはセクシーと哀愁しか感じなかったぐらいだ。なお、メイキングによるとメデューサの顔はスーパーモデルの顔との合成でできているらしい。そりゃ綺麗なはずだ。

この人のアクションシーンのいいところはスピード感。凄く速いっていう意味ではなくて、ちょうどいいスピードがわかっている、って意味。昨今の映画は大迫力だか何だかしらんが、速すぎて何が動いてるのかも分からないような映像が多い。見えない映像がいくら綺麗と言われてもなぁ、とゲンナリしてしまう。一方、この監督の映像はスピード感のある場面であっても、カメラワークの妙なのか、あまり目が忙しくならない。この辺りはトランスポーターでも共通していたように思う。

 

前述のとおりストーリー展開は最初からわかっているため、特に感想はなし。神様の身勝手さがよく描かれている点は良かったと思う。基本的に東西を問わず、神話上の神ってのは身勝手なものなのだ。

個人的に気に入らなかったのはペルセウスが神具の利用を拒否し続けて、たくさんの犠牲者を出していた点。神に反抗して「人間として戦いたい」って方針はわかるけど、だったら一人で戦いにいけよ。しかもそれでさんざんみんなを死なせておいて、あるシーンでだけは呆気無く使っちゃうんだもんな。それまでに死んだ奴が化けて出るぜ。全く。

 

ちなみに本作品の神々が銀色の鎧を着ているのは、聖闘士星矢の影響だという。そのせいで映画のポスターは車田正美とのコラボ作品になっていたのは記憶に新しい。折角だからそのまま聖闘士星矢の実写映画化もやっちまえばいいのにと思ったのは僕だけだろうか。ルイ・レテリエ監督なら細かいことは考えずに、車田正美とシンクロしながらアバウトに聖闘士星矢を実写化してくれそうなのだが(笑)。

 

ちなみに本作品の原題は「Clash of the Titans」である。直訳するとタイタンの戦いなのだが、このtitanという単語、単数形かつ大文字始まりでTitanと書くと皆さんご存知の(知らないか)地面を支えてる巨人のタイタンの事だが、本作品の場合複数形になっているので、どうも彼のことではなさそうである。一般的な単語としてのtitanは巨大な人って意味になるので「巨人たちの戦い」ってあたりが直訳。つまり「神々の戦い」ってことなんじゃないのかな。

 

何はともあれ毒にも薬にもならないけど、ホンワカと楽しい作品。何も考えずに見るにはお薦めです。