サイト内検索:  

X-MEN ファースト・ジェネレーション

監督:マシュー・ヴォーン/ 原作:スタン・リー/ 77点

■コンプレックスとその受容

 

X-MEN ファースト・ジェネレーション(原題:X-MEN First Class)はこの所映画化が進んでいるX-MENシリーズの1つであり、X-MENの誕生や、プロフェッサーXとマグニートーの関係の始まりを描いた、バットマンにおけるバットマン・ビギンズのような映画である。

 

X-MENってのはそもそもハンディキャップと差別をテーマとした物語である。監督陣にゲイの人がいる事から、本作品をゲイの扱いに例えているサイトが多いが、確かに大きく外してはいない。

物語の冒頭はマグニートーの少年時代から始まる。彼はアウシュビッツという過酷な環境において、ナチ党員であるシュミットの企みにより、母の危機への怒りの感情から、磁力を操るという超能力を発現する。同じ頃、テレパシー能力を持つプロフェッサーXことチャールズは、自分の姿を何にでも変えることができる能力を持つ少女、レイヴンと出会う。彼女の能力、そして青い鱗に覆われた本当の姿を見た彼のセリフは「良かった、僕だけじゃなかったんだ」である。このセリフの意味こそが、今回の作品の主題となる。

 

以下物語の流れを終盤までまとめて説明。完全なネタバレなので注意。

ネタバレ内に書いたように、違いを持った集団同士が協力しあう事はとても難しい。悲しいことに人間は、共通の敵の存在なしに一致団結するのが得意ではないのだ。

 

さて、本作のテーマであるハンディキャップと差別の話について(差別用語問題的に海外ではhandicappedはあまり使わなくなりつつある。外国人と話す時はcharangedを使う)。まず、本作品のミュータントは差別される立場である。しかしよくよく考えると彼らは一般的人類に比べ、多くの場合優れた能力を持っている。しかし彼らはマイノリティであるがゆえに、差別される立場にあり、多くの場合それぞれの能力を隠しながら生活することを余儀なくされている(一つ目の国では二つ目の人間はバケモノだ、ってのをどこかで読んだがそれと同じ)。

この物語で語られるのはその差別対象となる特異性の程度の差である。以下、登場人物の人間関係に関する大きなネタバレ有り。注意。

とまぁ、上記ネタバレ内でほぼ言いたい事は語ってしまった。上記のような考えの違いがある以上、遅かれ早かれマグニートーとチャールズは袂を分かつ運命だったのだ。

 

 

真面目な話はさておき、映像はかなり楽しい。特にテレポーターのあいつの動きが最高。実はこのテレポーターとxxxxの子供が、あいつだったりするわけだが、それはまぁ自分で調べていただきたい。

個人的に好きだったは、ハゲネタへのこだわりっぷり。セレブロを使う際のヘルメットをかぶるシーンで「髪には手を触れるな!」でひとしきり笑ったと思ったら、「教授だなんて将来ハゲそうだ」で爆笑。パトリック・スチュワートも苦笑いしていることだろう。

 

ってなわけで、アメコミ好きにはお薦め。派手なアメリカ映画が好きな人にもマル。本気のマーブルマニアは眉をひそめるかもだけど。逆に全然シリーズを知らない人も安心。なんせX-MENの出自を明らかにする物語なので。

ただね、長すぎるよこれ。家でビデオで見たからいいけどさ、映画館じゃトイレが我慢できなくなるよ。