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植物図鑑

作者:有川 浩 / 原作:/ 63点
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■ゆる甘すぎる

 

『植物図鑑』は有川浩によるゆる甘な恋愛小説である。この人の作品が甘々なのはいつものことだが今回は相当度が過ぎているので、苦手な方は気を付けて手にとって欲しい。電車の中で読んでると、既読の人に『わ、あのサラリーマン、あんな甘々恋愛小説よんでるw』と思われかれないので要注意だ。ってか、多分俺はそう思われていたのだろう。ぬぅ。

 

以下、ネタバレって程ではないけど、物語の大まかな流れに触れます。前知識なしで読みたい人はブレーキ。

 

 

さて、本作品の主人公はどっかのOLさんである。ある日飲み会の後にいい感じに酔っぱらって帰ってきたら、道端に若い男が行き倒れているのを発見する。声をかけたら『噛まないので拾って下さい』と言われたので、酔った勢いで拾って帰って餌をあげたら、情が移ったので同居することになってしまうという、突っ込みどころ満載の展開。

 

ところがこの拾われた男ってのが、性格が程よく草食系ってだけでなく、物理的にも草食系なのだ。どう言うことかというと、草本類にやたら詳しくて、野草を摘んでは見事に調理し、主人公のお腹と家計に貢献してみせるのである。で、まぁ、胃袋を捕まれた結果、ダラダラと同居生活を続けることになるのだ。マンガかよ!

 

ただし、このマンガっぽい設定は、別に本作品の致命的欠点とは言えない。世の中には現実より奇なる人は沢山いるもので、この程度の変わった人を創作したところで別に問題はないだろう。

 

作品として魅力的な部分もいくつかある。一番の魅力はやはり豊富な草花に関する薀蓄と、それが有機的に二人の日常に結びついている構成だろう。二人が「狩り」(「借り」ではない)と称して出かけるたびに、読者は新しい知識を知ることになる。そして主人公にとってはそれは単なる知識ではなく、拾った彼への愛情の高まりに結びついているわけだ。

 

ただし、そういう素晴らしい点を全部台無しにするような苛々する設定があって、個人的には手放しでお薦めできない作品になってしまった。

 

以下、苛々する設定について記載。がっつりネタバレなので未読の人は注意。

 

ってなわけで、物語全体はなかなか良いのに、主人公のバカ行動一発で全てが台無しになった感の作品だった。シアターではあんなに現実的なキャラが登場していたのに、なんでこんなバカキャラが主役級になれると思ったのかなぁ。ちょっと同じ作者の作品に思えない感じ。

個人的に大学で生物をやってた都合上、「男」の行動設定以外はかなりお勧めしたい作品なんだけどなぁ...。なお、いつもの事だが、おまけの短編2作は読む必要なし。有川浩のおまけ短編はあまり好みじゃありません。

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