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シアター!

作者:有川 浩/ 原作:/ 86点
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価格:641円(税込、送料別)

■ラノベ風演劇版もしドラ

 

図書館戦争に続いて手にとった一冊である「シアター!」は、とある劇団員たちのお話である。劇団員ってのは基本的に儲からない職業である。いや、この表現は語弊があるかもしれない。もう少し正確に表現すると、劇団員ってのは多くの場合趣味の延長線にあって、職業として成り立つことは稀有である。この物語登場する劇団、シアターフラッグもその例に漏れることなく、会計は火の車。代表である弟は、やり手サラリーマンである兄に劇団を維持するための資金を無心する事となる。

物語の冒頭で語られる理由により、弟の頑張りを信頼できない兄は、頼まれた資金の300万円を貸す代わりに、ある条件をつけた。それは、「2年以内に劇団の収入のみで300万円を返済すること。それが駄目なら劇団を解散すること」であった。

 

以下、物語の進む方向についてのネタバレ有り。注意。

 

ネタバレ内に語ったように、物語には大きな波もなく順調に進み、有川浩特有のラノベ的な甘酸っぱい展開が多いのだが、それでも大の大人を惹きつける確かな魅力が本作にはある。それはとある啓蒙的テーマがハッキリと描かれている点である。というか、むしろそういう内容を説教臭くならないように伝えるために、あえてライトノベル色を全面に押し出しているのではないかと感じる。啓蒙的内容をライトに読ませる技術で有川浩の右にでるものはいないのではないだろうか。

 

で、その啓蒙的テーマが何かというと....以下のネタバレの中で紹介。未読の方はオープン禁止。実際に本編を読んで、作中の人物と一緒に衝撃を受けてほしい。

 

とまぁ、一見緩くて甘い作品に見えるにもかかわらず、鋭い刃で武装された啓蒙的パワーも備えた名作。ぜひ我が子が中学に上がったら読ませることにしよう。自分も子供の時に読めたらよかった...なんて死んでも言わないぞ。今から頑張って、正々堂々と諦めれば良いのだ。