トグサが担当となったアオイを部屋まで連れて行くと、そこにいた少年たち、黒羽、オンバたちが「団長」という名前を口にする。当然その意味する所を聞いても教えてはくれない。不思議におもったトグサは外へつながる回線のある場所を見つけ、その事を9課メンバに報告するが、その際に「I thought what I'd do was. I'd pretend I was one of those deaf-mutes or should I?」という落書きを見つける。勘のいい視聴者ならここで、「笑い男発見!」と気づくだろう。
■I thought what I'd do was. I'd pretend I was one of those deaf-mutes
J.D.サリンジャーの"The Catcher In The Rye.(ライ麦畑で捕まえて)"において、主人公のホールデンが無駄に人に話しかけられずに済む方法として思いついた際の描写である。トグサの訳は「僕は耳と目を閉じ、口をつぐんだ人間になろうと考えた」であったが直訳すると「僕がどうしようと考えたかと言うと、耳の聞こえない、口の聞けないやつの一人であるかのように振舞おうと思ったんだ」ぐらいの意味である。
■団長、ホング、オンバ、黒羽
同じくサリンジャーの短編集、"The Nine Stories"に収録される、"The Laughing Man"の登場人物である。正確に言うと、団長は作中の人物であり、それ以外の3名は団長がバスの中で話す作中作「笑い男」の主人公「笑い男」の子分の事で、それぞれ、Hong, Omba, Blackwingという名前で登場する(ちなみに神山監督はこの名前が気に入ったのか、「東のエデン」にも黒羽を登場させている)。
■左利きのキャッチャーミット
"The Chatcher In The Rye."の主人公ホールデンの死んでしまった弟アリーのグラブが元ネタである。うろ覚えだけど確か、アリーの方は左利きの野手ミットだったはず。アリーは詩が好きで、自分のグラブに緑のインクで詩を書いていた。黒羽が何か残してくれと頼んだことでアオイがグラブに文字を書いたのはそのシーンのオマージュである。