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交渉人 THE MOVIE タイムリミット高度10,000mの頭脳戦

監督:松田秀知/ 原作:/ 51点

■細かい所に目を瞑れば面白い

 

本作品はドラマ「交渉人〜THE NEGOTIATOR〜」のスピンオフというか続きというか、そういう作品。「踊る」以降の、「はやった刑事ドラマはどんどん映画化」という流れに乗っかった作品である。結果から言うと、本作は目論見どおりの大成功を収めたといえるだろう。

 

事件はまず、人質立てこもり事件で幕を開ける。「交渉人」が登場する作品なら、大体こういう展開が待つものである。しかし、そこからの展開が異なる。

 

この冒頭の人質立てこもり事件の際に、御堂は「マーク・チャップマン」の話題を例に上げ、ちょっとした演説をぶっている。人の命が平等でない事、そして自分ならそれを変えられる事だ。この演説によって触発されるのが、第二の事件である、ハイジャック事件だ。普通ならここまでの展開ともなると、ネタバレ内に書くのだが、なんせタイトルがタイトルなので、隠すまでもあるまい。

 

さて、本作の見所といえば、神山健治的な予想を裏切る展開と、無駄に細かい裏設定だろう。前者の魅力は非常にわかりやすい。素直に脚本家に騙されるとすれば、以下のような展開が待っている。

以下、全面的にネタバレ。

 

とまあ、ディテールの甘さが目に付くが、雰囲気と映像はなかなか。ジャンパーアイランドが楽しく見られる人なら、特に気にはならないだろう。ただし、タイトルに反し、特に「交渉」が活躍するシーンって無いような...

 

 

ちなみに、本映画のハイジャックによる釈放要求騒ぎにはモデルがある。ダッカ日航機ハイジャック事件である。福田赳夫首相が「一人の生命は地球より重い」と述べて、身代金600万ドルの支払いとメンバーなどの引き渡しを実施したという、国内外に賛否両論を巻き起こした事件である。これ以降、特殊な突入部隊などが編成されることとなる。このへんが「無駄に細かい裏設定」と語った所以。