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機動警察パトレイバー the Movie

監督:押井 守/ 原作:ゆうきまさみ/ 83点

■映画的良さとキャッチーさのバランスが良い作品

 

「機動警察パトレイバー the Movie」は計画的メディアミックス作品の走りである、パトレイバーの最初の映画化作品である。漫画版とはやや設定を異にする部分があるものの、基本的には漫画版またはTV版を知っている前提で見るべき作品である。

 

パトレイバーという漫画は、ロボットアニメにOSの話を持ち込んだ点が面白くて、という話は映画第2作目の方で詳細に書いた。本映画作品の一番大きなポイントはそのOSの話となる。

 

以下、おおまかな流れに触れます。

 

とても大雑把に説明すれば、本作品はコンピューターウィルス騒動を描いた映画である。各所で頻発する謎のレイバー事故。それらの原因を追いかけた結果、どうも新しいOSに問題があるようで...というシークエンスは良くできた刑事ドラマのよう。

この設定が優れている点はいっぱいありすぎて書ききれないぐらいである。例えば時代。この時代にこの設定ってのは凄い。それから、遊馬のフクザツな心境との絡みが凄い。新しいOSを作ったのは遊馬の父の会社であり、遊馬は父との間に軋轢があって...とあれば当然そこには様々な人間ドラマが生まれる。また、レイバーのOSに問題が、って事は当然のように主人公たちの操るパトレイバー自身も暴走の危険にさらされるわけで、味方が信じられないって展開は、刑事物の王道というか必殺技といえよう。

 

このOSの問題の原因を追求する過程も面白い。攻殻機動隊を彷彿とさせる展開である。作成者自身が○◯した。では理由は、目的は?ってシークエンスがが抜群に巧い。また、それらを明らかにする過程での後藤隊長の言動が死ぬほど格好いい。天才を描くのは中々難しくて、下手な書き方をすると、脚本家の脳力の上限がバレバレになってしまうものだが、その点本作での描き方は凄い。原作でも登場した「飄々としているけど、実はすごい人」って設定が、見事に具現化されている。殆ど後藤隊長が主役の作品だといっていいぐらいだ。

 

まだうる星やつらなんかをやってた頃のドタバタ職も混じっていて、ロボット物の良さと、ドラマ的脚本の良さ、笑い、泣き、時代を超えた映像と全てがそろった名作。映画っぽさは2の方が上だけど、一般人にはこっちのほうがお薦めだと思うんで点数も高めにしておきました。