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少女

作者:湊かなえ/ 原作:/ 96点

■因果応報、地獄に落ちろ!

 

湊かなえといえば、先日軽い気持ちで観たら度肝を抜かれた映画作品「告白」の原作者なわけだが、実は小説を読むのは今回の「少女」が初めて。「告白」も相当怖い話だったが、今回の話も何だか独特の薄ら寒さの漂う、ちょっと怖い話である。そして非常に面白かった。結構「仕掛け」に依存した面白さの作家さんだと思うので、未読の方はなるべくレビューを見ずに作品を読んで、後でレビューに目を通したほうが良いと思う。

 

以下、物語の概略。まっさらな気持ちで読みたい人はブレーキ。

 

本作品の主人公は二人の女子高生、由紀と敦子である。二人はとても仲が良かったはずだったのだが、ほんのちょっとしたボタンの掛け違いが原因でお互いの間に変な緊張感が生まれてしまっている。そんな二人の間にちょっと割りこむように現れた紫織はとある名門学校からの転校生だった。紫織が「親友が自殺した」というエピソードを自慢気に語るのを聞いた二人は、競うかのように「自分も死を目撃したい」と思うようになる。

この辺りの思春期の少女心理の描写が見事。子供の頃ってのは死という現象はあまりに自分から遠い存在であり、その存在を深く意識する機会はない。しかし、中学・高校と年齢を重ねるに連れ人は死を意識するようになり、やがてそれは恐怖と憧れの中間のような、微妙な存在となる。物語中にもチラッと登場した映画Stand by meと同様、本作品は死への興味を題材とした作品なのだ(Stand by meの原題はThe Body = 死体であり、死をテーマとした映画である、と自分は思っている)。

 

さて、死に興味をもった二人は非常に不謹慎な理由でそれぞれ別々のアルバイトを始める。そこからの物語が非常に面白い。以下、物語の大きな構造に触れるため、ネタバレ内に書きます。

 

 

この物語は、非常に後味の悪い終わり方をするのだけれど、それはおそらく湊かなえの狙い通りなのだと思う。途中登場する由紀の祖母が口にした台詞、「因果応報、地獄に落ちろ!」こそが、この物語のオチだと思うのだ。

いろんな読み方のできる名作なので、是非いろんな世代の人に読んでもらいたい。できすぎた無理な設定もいろいろあるけど、そんな瑣末なことが気にならないぐらいには良くできていると思う。