盤上の敵作者:北川 薫/ 原作:/ 71点
■素晴らしい素材なのに生かしきれてない
「盤上の敵」は、チェスにすべてを投げ打ったとある男の人生を描いた、感動の作品...ではない。全然関係ない。そういうのが読みたい人はこちらを読んでいただきたい。本作品は北村薫によるミステリ作品である。
物語冒頭より各章のタイトルは登場人物を「白のキング」等と呼称しており、これが本作のタイトルの理由となっている。本作品の設定はかなり素晴らしくて、前半戦を読んでかなりドキドキさせられた。以降、物語の冒頭について説明するので、ネタバレにシビアな方は注意。
ネタバレ内の序盤の設定で、本作品が傑作になると確信した。なるほどこの複雑な状況を利用し、詰将棋のように事件を解決するから「盤上の敵」なのかと。主人公が隣人にとあるお願いをするシーンあたりで期待感はMaxに。どんな結末で僕を楽しませてくれるのだろうかと大いにはしゃいだ。 しかしだ。その後物語は若干穏やかに収束。いや、ちゃんと面白いんだけどね。あまりにも序盤の設定が巧すぎて、本作の結末より三段階ぐらい上の結末を想像してしまったのだ。そのせいで相対的につまらなく見えてしまった。ちょっと勿体無い。
以下、どこにしょんぼりしたかの説明。 とまぁ、かなり理不尽な個人的理由でしょんぼりしてしまった次第。良作品なのに、ちょっと何だかという所。個人的に書名や章のタイトルを無くしたほうが作品の完成度が高くなるのではないかと感じた。
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