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子どもたちは夜と遊ぶ

作者:辻村深月/ 原作:/ 83点
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価格:1,040円(税込、送料別)

■本編と違う部分が気になって気になって

 

「子供たちは夜と遊ぶ」は辻村深月によるミステリ作品の一つ。とある大学生たちの身の回りで起こる、連続殺人事件を取り扱ったものである。物語の冒頭は学術論文コンテストに参加する研究室の面々という、学園恋愛物かというような登場人物構成・物語構成で始まる。学園ものベースでの描写が素晴らしく、このままミステリを捨ててくれないかなと思ったぐらいだ。しかし、最初の殺人事件が始まって以降、物語はドンドンと過激な方向へと進む。

冒頭にミステリと書いたが、本作品の場合物語の早い時期に犯人のある姿が公開されることになり、模倣犯のようにサスペンス物として読み進めることとなる。しかしそのサスペンス物として読んできた作品が「ミステリ」としての姿を表すようになっているのが、本作品の面白いところ。

 

以下、以降の構成についてネタバレ

 

本作品は非常に良くできたミステリだと思うけど、不満な点が2つ。1つは登場人物たちの行動。伊坂幸太郎のなんかの作品でも思ったのだが、危ない所に飛び込むな。危ないと思ってる奴にはちゃんと警告しろ。そういう防犯思想がないからどんどん事件が拡大するんだってば。いや、拡大しないとミステリ作品としては困るのだろうけど。

もうひとつは「先生の耳打ちしたセリフが明らかにされなかったこと」である。詳細は本作を読んでもらいたい。そうしないと僕と同じ悔しさを味わってもらえないから。どんなセリフだったのかめちゃくちゃ気になって、物語終盤に「犯人は誰だろう」よりも「この残りページ数だと説明シーンがなさそう!」って事ばかり考えてしまった。別の作品中でいいから、ぜひ種あかしをして欲しい。