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きいろいゾウ
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■渾名の一つ一つに言霊を感じる逸品
「きいろいゾウ」は西加奈子による傑作小説である。真っ向勝負の文学作品で、世界観も日本語も美しくて最高の出来栄えである。なので、まずは読んでからここへ戻ってきたら良いと思う。以前「しずく」の書評を書いた際に、「西加奈子の作品はこれがはじめて」と書いていたが、あれは間違いでこっちが先。なんでそんな事を思い違いを書いちゃったかっていうと、あまりに作品の迫力が違いすぎて同じ作家の作品とは思えなかったから。模倣犯を読んでからブレイブ・ストーリーを読んだらおんなじ作家だとは思わないでしょ。そんな感じ。
本作品は、とある片田舎で生活する小説家の「ムコさん」とその妻である「ツマ」の物語である。別に婿だからムコ、妻だからツマというわけではない。その理由については本編を読んでいただくことにして、本作品には数々の素敵な渾名が登場する。「しずく」の時にも思ったが、西加奈子という作家は独特の言語センスを持っていて、そのセンスが本作品中では少し変わった女性である「ツマ」の個性と見事に合わさって、非常に幻想的な世界を作り出している。
以下、ネタバレというほどのネタバレではないけれど、前知識なしに読みたい人はブレーキ。
さて、この二人の物語が、どの様に展開しどこに着地するのか。タイトルのきいろいゾウはどんな役割をはたすのか。続きは是非自分の目で確かめていただきたい。
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