笑うな作者:筒井康隆/ 原作:/ 83点
■アイデアの大放出
「笑うな」は筒井康隆の中期のスラップスティックでブラックなショート・ショート集である。星新一に近い構成でありながら、皮肉であったり、馬鹿馬鹿しかったり、文学的に美しかったりと、読後の後味は全く異なる。34編も収録されており、非常にお買い得。ただ、書評サイト泣かせだよね....。
【笑うな】 「いいか、笑うなよ」と言われても笑ってしまう、状況ってのはある。読んでいるだけでこっちまで笑えてくるような、笑いの緊張感が伝わる作品。
【傷ついたのは誰の心】 口の上手い人に騙され続けているような流れで物語が進む。夢なんだか何なんだかわからないが不思議と切ない物語だったりする。他に類するものがないため、例えようのないテイスト。
【悪魔を呼ぶ連中】 コントにもありがちなシチュエーション。わかりやすいオチがつく馬鹿馬鹿しい作品。
【最初の混線】 馬鹿馬鹿しいんだけど、納得のオチ。落語みたいに美しい。
【遠泳】 いやいや、そこまで仕込んだあんたが恐いわ。
【客】 ナンセンス物のようでありながら、現代社会の問題を予見していたかのようにも見える。いや昭和55年は既にそういう時代の幕開けだったのだろうか。
【自動ピアノ】 偉い人を馬鹿にするのはジョークの基本。
【正義】 警察や医者の存在意義のようだよね。
【夫婦】 ありがちな記憶喪失物のパロディ。
【帰宅】 美しい夫婦愛を徹底的に馬鹿にしている。
【見学】 ドリフのコントかいな。馬鹿ばっか。
【特効薬】 昭和の後期は恐妻家の時代なご様子で...。
【墜落】 だよね。走馬灯ってそんなに....。
【涙の対面】 涙の意味は...。
【流行】 ドラえもんの道具にこういうビールスがあったなぁ。
【セクション】 section = 断面の事。地層のように重なる人もいるんだろうなぁ。
【廃墟】 幻想の未来を髣髴とさせる...けどお前ら一番重要なこと忘れちゃってるじゃん。
【ある罪悪感】 ここまで極端ではないにしても、こう言うことはあるだろう。
【赤いライオン】 インセプションみたいだ。
【猫と真珠湾】 確かに21世紀はそうなっていくのかも。
【会いたい】 芸術的、かつ恐い。
【接着剤】 最高のプレゼン。実在する商品なら良いのに。
【駝鳥】 ちょっと描写をやわらかくすれば完全に童話。
【チョウ】 意外とラストの解釈が難しい。多分社会批判で正解だと思うのだが。
【血みどろウサギ】 混ぜるな危険。
【マイ・ホーム】 日本人は世界平均から見ればこれに近い状況である事を認識しておいたほうが安全。
【ブルドッグ】 漫画やアニメにはありがちな展開。
【トーチカ】 単なる言葉遊びなんだけど、結果的には異常にリアルな未来像を描く事となってしまっている。生まれた時代が違えば、筒居氏は夏目漱石以上に造語を日本に広めていただろう。
【座敷ぼっこ】 童話のようなホラーのような。胸がキュンとなる話。
【タック健在なりや】 受験戦争の批判?単なるドタバタとして読むべきか。
【産気】 シュワルツェネッガーのジュニアの原作....ではないよね??最後は落語かいな...。
【ハリウッド・ハリウッド】 最近mixiなんかが広まったせいで、これに近い事がおきてるよね....。
【末世法華経】 同じことを釈迦に見せたらもっと困惑するだろう。
【ベムたちの消えた夜】 科学の発展は夢の終わりなのか。そうではないと信じたい。
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