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トランスポーター2

監督:ルイ・レテリエ/ 原作:/ 71点

■行く所まで行っちゃった馬鹿映画

 

註)前作トランスポーターを見ている前提で解説を書きます。そのため、特に前置きなしに前作のネタバレ表記が登場する可能性がありますので、ご注意ください。

 

トランスポーター2はリュック・ベッソン脚本、ルイ・レテリエ監督のTAXIとカンフー映画を混ぜたお馬鹿作品である。何だかこの1文で全部語りきったような気もするが、もうちょっとだけ解説を加えよう。

前作において主人公のフランクはプロの運び屋だった。冷静沈着で車の運転はレーサー級。肉体的にも屈強な、軍隊上がりの最強のハゲだ。外国人はハゲても格好いいのがずるいと思う。閑話休題。ところが、うっかり人情を出しちゃったために、大変な目にあうも、持ち前の運動神経で大活躍。しかし、警察に目をつけられ、おそらく裏業界からも干されてしまったと思われる。

 

そんなわけで、やむなく運び屋を廃業し、フランスから国外逃亡。マイアミににてお子様の送り迎えをしている、というのがトランスポーター2におけるフランクの立場である。んでまぁ、またもや、色気を出して、悪いやつに狙われて大立ち回りして解決ってのが本作品の内容。

一見成長がないように見えるが、細かく見ると内容は一変。面白い映画にするのか、ハードボイルドにするのか、方向性が定まっていなかった前作と違い、明らかにお笑い方向に舵を切った本作は、迷いが感じられず実に面白い。前作で散々無茶な走りをした車は、今度は空を飛んだりするし、前作で仲良くなった刑事は、旅行のついでにハッカー行為。飛行機内での立ち回りなんて、CG丸出し& 物理法則完全無視。お金をかけたドリフのコントである。それを、一流のアクションのできる渋い顔の男と、いかにも悪そうな顔の悪役が、一生懸命繰り広げているのが変に面白い。

 

中でも圧倒的な存在感だったのが、女テロリスト・ローラ役のケイト・ノタ。ガリガリにやせているのに筋肉質という、蟲惑的な肢体を惜しげなく、衆目に晒しながらのアクションシーンは、強烈。ガッツリメイクがスプリンクラーで溶け、アイシャドーで黒くなった目周りなど、実にパンクで格好いい。他の俳優を完全に喰ってしまった。実に強烈な個性だ。バットマンなどのアメコミ映画にそのまま出てても、全く違和感がないな。

 

んなわけで、ぬるい脚本に最高のアクションを詰め込んだ面白爆弾作品。ぜひ宴会のお供にどうぞ。...とはいえ、やっぱり映画館で見たいタイプの作品ではないんだよなぁ。

トランスポーター2

トランスポーター2
価格:1,701円(税込、送料別)