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あさのあつこ

作者:福音の少年/ 原作:/ 44点
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■世界観は凄いけど…

 

「福音の少年」は「あさのあつこ」による、サスペンス的なジャンルに当たる小説である。結局タイトルの「福音」の意味もわからなかったし、おおた慶文による、やたら可愛らしい装丁が、作品中の何を表すのかも全く理解できず。正直その辺りの「外堀」はちょっと好みじゃなかった。

 

しかし物語の世界観には何だか独特の怖さがあって、変に引き込まれる。物語冒頭、語り部となるのはとある、壮年の男である。彼はなんと、不治の病に罹っており、余命いくばくもないという。彼はとある場所を目指し、タクシーに乗り込む。目的地に向かう途中、彼は運転手との会話をきっかけに、ある元アパートを目指す。何が「元」なのかというと、そこは9人もの命を奪った火災の現場だったのである。

暗闇の中でとある少女のことを思い返していた男は、2人の少年に襲われる。しかし、少年たちもむしろ男のほうを悪人扱いしているかのようだった。果たして主人公は何を目的にここにやってきたのか。少年たちは一体何者で、なぜ暗闇の中で彼に襲いかかってきたのか。それがこの物語の主軸となる。

 

この冒頭の展開のつかみが凄く力強い。正直な所、彼女の文体は僕の読み慣れた文体とはかけ離れていて、読み進めるのにはかなりの努力を要した。しかし、それでもなお、必死で物語を追いかけてしまうような魅力がある。その辺りの引きの強さは一級品の作品だと思う。

 

一方で、読み終わった時にはちょっと悪い意味のため息が出た。以下、ネタバレかつ作品に対する厳しい意見となるため、未読の方及び熱烈なファンの方は注意。

 

ハッキリ言ってこれは、少年たちを主人公とした派手な物語があって、それのスピンオフとしての前日譚出ない限りは許されないレベルだと思うんだ。って事で今、このレビューを書きながら携帯でググって見ることにする。……違った。単体の作品だった。そうですか。

 

世の中の人の評価を検索してみた感じだと、意外と好意的に受け取られている感じ。思春期の少年たちの微妙な心を描いた云々、ってのが評価されている様子。うん、そういう要素はある。良い点もいっぱいある。ただ、世の中の男子はあんな美しい状態じゃないです。馬鹿でエロくて情けないです。男の子同士であんなBLじみたあこがれを抱いたりしません。あぁ、いっちゃった。

とはいえ、物語全体が独特の魅力を放っているのもわかるので、多分好みの問題なんだろうなという感じ。多分、属性の違う女性読者にはそこそこ受けるんじゃないかと思う。ただ、僕の好みでは全然なかったなと。ただひたすらに残念。