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怪談

作者:柳 広司/ 原作:/ 68点

■小泉八雲の怪談を現代版に刷新した作品

 

もはやリメイク王とかそういう肩書きが付けられてもよさそうな柳広司の今度の作品は、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの書いた、傑作ホラー作品「怪談」の世界観や設定をそのまま現代に持ってきて再構築した、ホラー短篇集である。煽りに「刷新した」とかいた事から分かる通り、これまでにレビューした「漱石先生の事件簿(猫の巻)」「贋作『坊ちゃん』殺人事件」とは異なり、原作の世界にadd-onした作品ではない。

柳広司といえば、どちらかと言うとミステリ作家というイメージが強いのだが、本書の場合は原作通りホラー作品として描かれている。いくらミステリ的な展開になっても、ミステリ読みをすると肩透かしを食らうのでご注意を。つまり、オチが非科学的でも「フェアじゃない!」とか言っちゃいけないって事。

ホラー短編としては全体的に中々好みだった。けど、この企画物としてどうだったかというと、僕の知識不足で正しく判定できず。点数低めだけどこれは「ラフカディオ・ハーンの『怪談』という素晴らしい名作をちゃんと読んでない奴向けの点数」だと思っといて下さい。何だかすいません。

 

【雪おんな】

これが一番印象的だった。原作の設定を上手に生かしつつもそっち向きの結末に持っていくかと感動。サイコホラー的で凄い。

 

【ろくろ首】

ろくろ首の姿はともかく原作を一切覚えてなくて、頭のいいコメントは出来ません。ミステリ的だけどホラーに切って落とす感じ。

 

【むじな】

これは最後のオチが教科書で読んだ原作に似ててほっこりした。良作。

 

【食人鬼】

これ、オリジナルを全く知らない。全く知らないけど、この作品と同じ展開の作品を4つぐらい過去に読んだことがあるきがする。そのぐうぜんが一番怖い気も...。

 

【鏡と鐘】

これも原作を全く覚えてません。全体的な空気が怖い作品。

 

【耳なし芳一】

これも予想外の切り口。持っていかれるものが何なのかがとても気になる。ってかホラー云々より、そもそも「その道の人の事務所に連れて行かれるのでは?」とか、現実的な怖さを感じなかったのか、主人公は。