強運の持ち主作者:瀬尾まいこ/ 原作:/ 69点
■面白いけど予定調和か
「強運の持ち主」は占いを生業とする女性の日常を描いた作品である。彼女はある師匠から四柱推命などの占い方を習い、途中で占い師になった人である。と、こんな事を書くと何だかインチキくさく思えるが、よくよく考えると全ての占い師はそうやってどこかのタイミングで占い師になっているはずなのだ。よっぽど伝説の預言者とかでもない限りは。 彼女は良くも悪くもいい加減な性格で、それを巧く生かして占い師としてはなかなかの成功を収めている。占いの結果を都合のいい方に解釈して客に伝えるからだ。これまたインチキに思えるが、よくよく考えると理にかなっている。占いの内容は未来への暗示であり、それをどう解釈し、今後の行動にどう活かすかは、占いを聞いた人の自由である。それに、そもそも占いに頼る人たちの多くは、心の中に結論を持っている。ただ背中を押して欲しいだけのことが多いのだ。
本作品にはそんな彼女がどんなふうに占い師になったか、どんな風に馴染んだのか、そして自らの恋に占いをどう活かすのかなどがテンポの良い語調で描かれている。正直この手の物語に占い師を登場させると、物語の展開はこれしかないという所に落ち着くわけで、ストーリーはやや予定調和的である。しかし途中ある能力を持った少年を登場させることで、結末についての考えた方を描くなど、いろんな工夫があって飽きさせられない。1時間ぐらいであっけなく読み終わってしまった。
楽しく軽い作品が読みたい時におすすめの作品。ただこのジャンルの作品を連続して読むと飽きるな、個人的には。 Copyright barista 2010 - All rights reserved. |