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グリーン・ランタン

監督:マーティン・キャンベル/ 原作:/ 57点

■沸き立つエネルギーが足りない

 

グリーン・ランタンはなかなか説明が面倒な部類の作品である。DCコミックスというアメコミの世界は基本的に説明が面倒なので、仕方ないっちゃあそれまでなのだが。

 

詳細はWikipediaでも参照して貰う事にして、大雑把に説明をしよう。昔々宇宙にとっても偉い人達がいた。彼らはある観察実験中に失敗し、結果として宇宙に「悪」が存在する事となってしまった。責任を感じた彼らは宇宙を守るためグリーンランタン・コーズという組織を作り、宇宙を3,600エリアに分割して、それぞれに担当者をつけた。

それぞれの担当者は装着したリングから、緑色のランタン越しに、中央からのエネルギーを補給する。そのスーパーパワーを発揮して戦うわけだ。で、地球の含まれるエリアの担当として選ばれた地球人を、地球人はグリーン・ランタンと呼んでいる。本来一個人を指すような名称では無いと考えるのが自然である。

そのような設定であるがゆえに、地球で活躍するグリーン・ランタンという名前のヒーローは、DCコミックス中に5人登場する。で、本映画作品中の主人公はそのうちの2人目にあたる設定を用いていると思われる。途中の科白に「地球人で初めて」という会話があるが、そのへんは気にしない。

 

さて、大雑把に説明しても上記のような事になるため、本作品のどこを切り取って映画化するかは随分もめたようである。詳細はWikipediaに任せる。こんなのいちいち文書化して説明してられない。要は監督も脚本も俳優もころころ変わったので、収拾はついてないって事だ。

 

それが原因なのか何なのか、どうにも本映画の脚本には締りが無い。主人公の葛藤とか、なんかドラマチックな展開がほしいところ。結局のところ「本当の勇気は恐怖を乗り越えた先にあるんだよ」っていう子供向けの教育的指導があった程度。それも幼馴染にちょっと窘められたらすぐ採用ってんだからなんだかこう、物足りない。

怖がりなのに親と同じテストパイロットになった理由もわからないし、何をきっかけに乗り越えたのかが明確に描かれてないのでそのあたりの人間ドラマが見えてこないのだ。軽くてそこら中の女の子に手を出していた彼をあっけなく受け入れるヒロインもなんだかなぁだし。

 

とはいえ、この映画の場合、追求すべき魅力は映像のほうだろう。グリーン・ランタンのエネルギーの源はフォースなので精神力なので、強く念じれば、何でも緑色の物体として具現可能である。ちょっとしたマトリックス状態だ。Blu-ray環境で見る戦闘中の映像は、映画版ラミエルを見ているようで楽しい。

とは言うものの、この映像的感動もすぐに飽きが来てしまう。精神的弱さや想像力の乏しさなどが限界となって負けるシーンなどが無いから、「単なる何でもあり」に見えてしまうのだ。

ジョジョなんかを読めばわかるように、限定された能力で戦うアイデアってのは視聴者の心を強くひきつける。一方、何でもありってのは飽きられやすいのだ。

なので、ラストのあれも工夫っちゃ工夫だけど、もうちょっと「アイデア」を全面に押し出した戦いにした方が受けたんじゃないかな?ちょっと勿体無い。

 

んなわけで、普通に面白いけど、普通すぎて特筆すべき点の無い作品。大画面大音量で楽しく見る分にはちょうど良いけど、特に何も心に残らない作品です。

 

なお、若干トレッキーな自分としてはSF的映像が好みでした。