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風信子の家 神代教授の日常と謎

作者:篠田真由美/ 原作:/ 28点
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■熱心なファン専用の作品 或いは...

 

※注意!!

結論からいうとこの作品は僕の好みと会いませんでした。なので、以降は結構厳しい意見を書きます。この作品が好きな人はここで立ち去ってください。わざわざ読んで気分を悪くする必要はありません。作風に対する好みは千差万別です。

僕は「建築探偵シリーズ」を読んでません。そのせいで理解できない部分が多いのかもしれませんが、独立した作品である以上、他の作品を読んでなくともそこそこ楽しめるべきだというスタンスで感想を書いています。

認識間違いに対する指摘は謹んで受け付けますが、苦情を送られても困りますので念のため...。

 

 

 

「風信子の家」は篠田真由美の人気作品である「建築探偵シリーズ」のスピンオフ作品という位置づけ。本作品の主人公神代は、建築探偵シリーズの主人公の指導教官という設定...らしい。

自分はそういう前知識なしに手に取ったので何のことやらさっぱりである。そういう視点からの作品評価であるため、ご注意いただきたい。ただ初めてこの本を手に取った読者の感想は僕に近いものになるのではないかと。

 

内容はというとミステリ4編と登場人物の日常を描いたショートが1本。ただ、多くの作品はミステリというにはあまりにもさっぱりしている。やっぱりファンがスピンオフとして楽しむ為の作品であって、我々は蚊帳の外って気がする。

 

以下、各話の感想

 

【風信子の家】

「この謎が解けるかな?」という手紙と共に、非常に精巧な家の模型が届いた。差出人は神代には見覚えのない人物だった。模型は1部屋だけの小さな家で屋根は無い。そして模型の床には背中にナイフが突き立った、死体を模したと思しき人形が横たわっていたのだった。メッセージの意味は?この模型はいったい何を指し示すのか?ってのが、この物語の最大の謎となる。

 

神代家の家族構成とか突っ込みどころは満載だが、そういう余計なところに目をつぶれば、この冒頭の謎はなかなか面白い。リアルな模型には鍵までついており、密室殺人を模しているようにも見える。果たしてこの謎を神代はどう解くのか?一気に興味をそそられた。

 

...けど、裏切られた。以下、完全なネタバレあり。

 

ってなわけでこの時点で結構力尽きた。後はレビューをちゃんと書くために気力を振り絞って読んだ状況なので、僕の内容把握に明らかな間違いがあった場合はご指摘いただけると幸いです。

 

 

【夢魔の目覚める夜】

夫の事故死が結婚に反対していた父の殺人ではないかと疑う女の話。疑う原因は画家であった夫の絵の写真が心霊写真のように変化していたからだという。

 

 

 

【干からびた血、凍った涙】

深く理解できるレベルで読まなかったので細かい感想は控えます。ところでこの作家って「自殺か否か」ってパターンの専門家なの?

 

 

【クリスマスは嫌い】

クリスマスが嫌いな蒼のご機嫌を伺う神代の話。本短編集のための書き下ろしで、ミステリではない単なる日常の話。これはシリーズを知らない自分としては全く何も面白くなかった。

 

付け加えると、こういう人間関係は一般的男子には受け入れられない。古きよき少女マンガは「素敵なおじ様と無邪気な少年の暖かい心の交流」を描きたがる傾向にあるが、一般的男子はこの手の展開が嫌いだ。男子的にこの構造をほほえましいと感じられるのは、少年が5歳以下の場合だけである。そしてこの物語の場合、蒼は12才だ。おお、気持ちが悪い。

男子ってのは女子より精神年齢が低いくせに、大人として認められたがる生き物である。なので、12才にもなった男が大人に依存するシーンは、拒絶反応以外の何も生み出さない。このへんの感覚には生物としての本能が大きく関与しているのだが、長くなるのでここでは語らない。

ライ麦の主人公ホールデンに代表されるような、ダサいヒロイズムは思春期の男子のあこがれである。ところがその感覚は一般的に女子には受け入れがたいものだろう。それの逆バージョンだと思っていただければよい。

 

【思いは雪のように降りつもる】

ミステリとしての構造は面白いけど、それを描く背景に無駄が多すぎてイライラする。自分はパズラーでは無く、人間性を描かない本格ミステリは苦手なほうだ。なのでそういう意味の「無駄な背景が多い」って意味ではないので誤解の無いように。

 

以下、構造をガッツリネタバレ内に書く。なんせさらっとまとめて書くことができないのだ。

 

ってなわけで、ネタバレ内に書いたように、この物語って「単なる雪の山荘物語」として描いても特に問題ないのでは?ウェットな物語は嫌いじゃないけど、ウェットさが物語に絡まないんだったら不要じゃないのかなぁ。

 

 

 

結論:僕にはこの作品の面白さを理解する能力がありませんでした。