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23分間の奇跡

作者:青島幸男/ 原作:ジェームズ・クラベル/ 90点

■初等教育と洗脳は紙一重なのか

 

僕にとっての青島幸男と言えば、元東京都知事というよりは「意地悪ばあさん」その人であった。長く意地悪ばあさんシリーズのドラマを見続けて、それが青島幸男なる男性が演じていたのを知った時、子供心に衝撃が走ったのを今でもハッキリ覚えている。なのでそんな青島幸男が都知事になった時には「コメディアンが政治家に?」と非常に意外だった(まだコメディアンの頭の良さに気づいていなかった)。実のところ青島幸男氏は放送作家上がりであり、小説家としての処女作は直木賞を受賞するというとんでもないマルチタレント。自分が彼の一面しか知らなかったというだけなのだが(そういえば百田尚樹氏も放送作家である。放送作家ってのは構成のポイントが分かってるんだろうなと思う)。

 

さて、本作品「23分間の奇跡」ははそんな青島幸男がジェームズ・クラベルの傑作短編作品"The Children's Story ... but not just for children."を和訳した作品である。直訳すると「子供たちの物語…しかし、子供たちだけに向けたものではない」という所だろうか。実はこの本、中学の国語の先生が面白いから読みなさいと勧めてくれたもの。数年前に思い出して買ったものを再読したので紹介してみようと思う。

 

物語の舞台はとある小学校の教室である。いつものように先生が教壇に立っているが、様子がおかしい。始業の9時になると若くて綺麗な先生が入ってきて、これまでの先生は泣きながら教室を後にしてしまう。そして新しい先生は、みんなに今日からのこと、今日からの教室内でのルールを話すのだった。

 

非常に短い作品なので、以降はネタバレ内に書きます。

 

大切なことは全部ネタバレ内に書いてしまったので興味のある人は本編を読んでください。速い人なら多分10分ぐらいで読めるので。少なくとも23分もあれば、あなたの心にも奇跡かな何かが起こるはずだ。