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ターミネーター2

監督:ジェームズ・キャメロン/ 原作:/ 94点

■不朽の名作

 

ターミネーター2と言えば、わざわざ今更紹介しなおす必要がないほどの不朽の名作である。良くできた見て面白い作品というだけでなく、後の様々な作品世界に影響を与えたという点でも、重要な作品だといえる。年末にTV放送していたものを久しぶりに見たので、簡単にレビューを書いておこうと思う。

以下、前作ターミネーター1を見ている前提での説明となるため、まだ見ていない人はここでブレーキを。

 

初代ターミネーターという作品はSFの王道パターンを踏襲したストーリーであった。機械の暴走で人類は絶滅の危機に。しかしあるリーダーの存在により、人間は逆襲を開始する。機械達は「じゃあそのリーダーの母親を殺せば良いんじゃない?」と考え、過去の世界に刺客として「ターミネーター」を送り込んだ、というものである。

 

余談だがターミネーター(terminator)とはterminateするもの、すなわち直訳すると「終わらせる者」という意味である。ターミナル駅というと日本では乗換駅とかでかい駅とかって意味に捉えられがちだが、本来は終端の駅という意味だ。日本人はその辺のニュアンスを理解していない事が多い。

先日「ターミナルクリニック」とかって名前の駅前の歯医者を見つけたが、これなんかはかなり酷い。英語でターミナルケアと言えば、癌などで末期を迎えた患者の痛みを減らして余命を有意義に使っていただこうという、終端医療の事を指す。病院にうっかり使って良いような単語ではないのだ。そんな名前の歯医者にはちょっと怖くて行けない。総入れ歯にされちゃうんじゃないかと不安になってしまう。

 

閑話休題。で、将来リーダーを産むであろう/産んだ母親こそが1, 2共通の主人公であるサラ・コナーなわけだ。1ではなんとかターミネーターを撃退したものの、その時の部品がサイバーダイン社にうっかり拾われていて、結果として本来の歴史よりも機械たちの進化の速度が早まってしまい、新たな能力を持った新型のターミネーターT-1000がサラ・コナーとその息子を抹殺すべく送り込まれたのだった。送り込まれたところからが、2のお話である。

 

本作品のストーリーの見所と言えば、何と言っても歴史が変わったことにより、前回敵だったはずのT-800が味方となって登場する設定だろう。特に複雑な設定ではないし、同様のSFは星の数ほどあるものの、時間旅行によるタイムパラドックス設定を一般大衆向けの映画に採用し、それを般化したという功績は大きい。もっとも日本人の多くはドラえもんで学習済みの設定ではあるが。この構造はドラゴンボールのセル編などの元ネタとなったことでも有名である(ってかあれは丸パクリだったよね...)。

 

本作品は映像的にも大きな功績を残した映画である。本格的なCG映画の草分けといえばやはりこの作品を挙げる人が多いのではないだろうか。アビスなどの作品で力を蓄えたスタッフにより実現された、T-1000の液体金属の描写は実に感動的だった。本作の凄さのポイントとしてあまり語られることがないが、原子爆弾の爆発シーンの映像もこの映画の見所の一つである。本当に怖いシーンなのでぜひ見ていただきたい。いや、見ないほうがいいのか?TV版では大幅にカットされていた気がするので、興味の有る方はDVDレンタルしてください。

黎明期のCGをうそ臭くみせないためのCG以外の努力の功績も大きい。実はCGに見える液体金属のシーンの多くが、単なる特撮メイクや、タダの液体を撮影したものでごまかされたりしている。また、T-1000が他人そっくりに化けるシーンなどはそもそも双子の俳優を使ったりしていたのだ。本格ミステリ小説なら怒られるところである。

前作でも「ロボットのぎこちない動きを正当化するため、その前のシーンで、トレーラーに引かせ、故障したことにした」などの設定による逃げが見事だったが、そのあたりの努力あってこその映像の素晴らしさなのだと思う。CGが発達する前の特撮映画のアイデアの素晴らしさは本当に驚嘆に値する。

「メイキングなんか見ちゃうと夢が壊れるから」とあまり見ない主義だったのに、最近は結構見るようになったのは上記のような事実を知ったから。メイキングによって壊される映画の幻想より、幻想を創りだそうというスタッフの努力や発想に夢を感じるようになったのだ。

 

ってなわけでハリウッド映画好きを自称するなら一度は見ておきたいってか見てない同年代は皆無という良作品。まだ見ていない若い人は今更なんて言わずレンタル屋に走って欲しい。

 


おまけ:

そういや手やCPUが1の時に残ってて、ってのが2のきっかけなのに、2の途中でまた手の部品が残るシーンがあったよね(汗)。3への前フリなのかとも思ったけど、3は予定になかったみたいだし、そもそもそんな布石は回収されてなかった。わざわざ感動的なあのラストシーンを作った割にはちょっと納得行かない。これがホントの「手落ち」か。....いや、その、スミマセン。

 

おまけ2:

どうでもいいけど、サラ・コナー役のリンダ・ハミルトン、T2の頃の顔がエアロスミスのスティーブンタイラーに見えてしょうがないのは俺だけですか。そうですか...。