クレイジー・クレイマー作者:黒田研二/ 原作:/ 55点
■リアル系地味ミステリとおもいきや....
クレイジークレイマーはとあるテンポに登場する恐ろしい、クレイマーのエピソードを扱った作品である。この物語の主人公である袖山は、とある電化製品屋の店員である。彼はアルバイト時代の成績が良かったため正社員となり、その後も頑張って働いた結果、部長的な立場にまで上り詰めた。しかしそうやって出世してみてわかったことは、こういったショップは販売成績さえ上がれば良いというものではないという事実であった。 袖山の店にはある二人の「悪魔」に悩まされていた。一方は万引き犯の通称マンビー。繰り返し万引きを行うマンビーは、なんとキャッツ・アイかの如く、自分の仕業であることを証明するメモを残すという愉快犯であった。もう一方はクレーマーの岬圭祐である。彼は「クマ型のペットロボットが病気になった」との苦情を持ち込むのだが、面倒になった袖山の対応がややぞんざいであったために、「電子レンジで温めたら死んでしまった」とさらなる苦情を持ち込むこととなり、次第に恐ろしいクレーマーとなっていく。
物語の前半はこのように非常にリアル志向の物語が続きなかなか面白い。奥様は結構イライラしたとのことだが、情報系で働く人間としてはクレーマー対応ってのはある程度経験のあることで、たしかにイライラはするのだが、袖山の立場に同調してしまうがゆえに、結構な熱中度で読まされてしまった。 ただ、ところどころ人間描写に気持ち悪い所あり。全体としては非常に読みやすい文体で書いてあるが故に、そのちょっとした気持ち悪さが、結構な障害に感じてしまった。が、しかし、結末までたどり着いてみると、それを欠点だと一刀両断するわけにも行かないなと感じた。それはこの物語がとんでもない意外な結末を迎えたからである。
以下、かなりネタバレ気味なので未読の方は注意
ネタバレ内のような理由で、合う人は絶賛。合わない人は全否定みたいに評価が二極化する作家なのではないかと思う。自分はと言えば、面白かったけど何だかなという感じ。「って、二極化してないじゃん!」ってツッコミは不要です。自分でもわかってるんだけど、なんとも評価に苦しむのだよなぁ。
---- おまけ どうでもいいけどこの作品、副題が多すぎ。「クレイジークレイマー」の下に、「THE TROUBLE WITH TEDDY」と書いてあって、さらにその下には「The Devil is coming to DAILY TOWN 」と書いてある。さすがに蛇足な気がその...。 Copyright barista 2010 - All rights reserved. |