レッドクリフ Part II -未来への最終決戦-監督:ジョン・ウー/ 原作:/ 57点
■小喬が咽喉の小骨の如く引っ掛る
本作品がどういう映画なのかはレッドクリフ PartIを参照いただきたい。要は続きである。前作は「そこで終わるのかよ〜!!」って状況で終わったので、後半はエヴァ「破」の如く、怒涛の戦いが待っているのかとおもいきや、睨み合った状態でのらりくらりと知略戦が始まる。(三国志を知らないからゆえの発言なのは自認してます) ただね、いくら何でも曹操が馬鹿っぽく描かれすぎだと思うんだ。女にうつつを抜かし、直ぐに騙され、直情的で、引き際も読めない。仮にも三国の一つを統べている男があんなアホに描かれて良いのか?孔明が主役扱いの描き方だから、曹操ファンに怒られるのは構わないけど、あれじゃあ謀略勝ちしている孔明の頭の良さがちっとも際立たないと思うのだが。
後編の見所は、孔明らの謀略による戦況の変化っぷりや、大規模な水上・陸上での戦闘シーンである。前編での八卦の陣にひきつづき、今回も盾をうまく利用した戦闘シーンが登場する。前編同様、しっかり見せようという欲張りっぷりのせいで、ややゆったりしていて「いや、そんなにゆっくりやってたら、隙間から攻撃されるって!」とは思ったものの、まだまだこういう戦い方があったのかと面白く見ることができた。
戦闘シーンは相変わらず、シビアな描写もちらほら。遠くから銃弾で殺す時代の戦争とは違い、人を殺すって行為は本来コレぐらい残酷なものだった筈だ。大掛かりな水軍兵の突入シーンは、かなり非効率なカミカゼ的戦略に見えたものの、飛び道具らしきものが無かったこの時代はこうせざるを得なかったのかも。なので、映像としてはリアルなのだろうなと思ったのだが、下級兵としては文字通り命がけの戦いとなるわけで、戦いの「意義」が巧く描かれていないと、逆にリアリティを感じない。もうちょっと戦の「内面」も描いても良かったのでないかな。
終盤はとにかく「小喬」の行動にイライラ。ああいう「あなたのためを思って」的な単なる身勝手行動は大嫌い。自分なら見捨てるぞ、マジで。身内にに心配をかけることが一番罪深いと知れよ、全く。結果的に良い目が出たからといって許せんぞあのバカ女。ってか、史実ではそんな展開はなかったらしいので完全に脚本家が悪い。安い感動を作ろうとしすぎだ。 孫尚香の方のエピソードも「今から感動作りまっせ」的わざとらしさが鼻を突いて今ひとつだった。特に相手の男があまりにもピュアすぎて、ちょっと「頭の悪い人」っぽく見えてしまっている。何とかならんものか。 で、ラストシーンは笑っちゃうぐらいに下級兵士が誰もいなくなって、お前らしか生き残らなかったのかよ!って映像。で、最後の凱旋の時にはまた兵が増えてるという。なんか印象派の絵を見ているようなご都合主義描写にちょっと冷めてしまった。あと、中国の人ってボスは必ず生きて帰らせるルールなの?せめて捉えて帰れば以降の戦乱は無くなったんじゃないの?理解に苦しむ。1を生かして千を殺すような行動って、当時の倫理上はOKなんだっけ??
んなわけで、映像は面白いが、脚本はイマイチの本作品。でかい画面で深く考えずに見る分には良い出来だが、ストーリー重視の人には多分向きません。 Copyright barista 2010 - All rights reserved. |