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ブルータワー

作者:石田衣良/ 原作:/ 65点
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■映画向きの作品

 

「ブルータワー」は石田衣良による闘病する男の姿を描いた愛と感動の作品...かと思いきや、結構後味の良いSF作品である。石田衣良の作品はこれが初めてなので、この人がSF作家なのかどうかはよく分からないけど、他の作品のタイトルを見た限りはSF専門の人なのかな?

 

本作の主人公はできるサラリーマンである。たまたま持っていた土地が、高層ビルの建設予定地の一角であったため、土地を譲る代わりに巨大なビルのほぼ最上階に近いフロアを所有することとなり、ちょっとした特権階級の一員となっている。物語の冒頭はそんな彼が東京の街並みを見下ろすシーンから始まるのだが、そんな恵まれた立場とは思えないほど暗い感慨しか彼の心には湧いてこない。なぜなら彼は悪性の脳腫瘍に侵されており、その命はあと幾ばくも残っていなかったからである。

病気物を読むと気持ちが暗くなるので、正直ちょっと後悔したのだが、少し物語を読み進めると話の方向は一変した。彼は脳腫瘍の痛みにうなされていたのだが、気がつくと全高2kmもある巨大な青い建造物である、ブルータワーにすむ、とある特権階級の男になっていた。なんと、彼の精神だけが200年後の世界に飛ばされてしまったのだ。

 

以下、物語の大きな流れに関するネタバレ

 

ってな感じでネタバレ内には結構厳しいことを書いたのだが、細かいことを気にしなければ普通に面白く読めるのではないかなと。特に、これをハリウッド映画化したシーンを想像すると、なかなか面白い作品なのではないかと思う。ダイナミックで、映像的に面白そうだけど、緻密に読むとちょい物足りない。そんな感じの作品です。