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太陽の坐る場所

作者:辻村深月/ 原作:/ 70点
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価格:1,500円(税込、送料別)

■女って、怖い...

 

同窓会に参加する人の心の中はなかなか複雑である。みんなのマドンナ(死語)だったあの子が、ボテボテのおばさん化してしまっていたり、格好良かったあの人のオデコの面積が5割増になっていたり。

上記のような例はまぁ、笑える話であって、実害なんて無いに等しいのだが、実際にはもうちょっと切実な思いが心中には蓄えられていたりするもの。焼けぼっくいに火が付きそうな元カップル。懐かしいあの子を今の俺ならと下心丸出しの男性陣。中でも嫌なのが、気位の高い同級生同士の「幸せ比べ」である。

 

本作品のストーリーの主軸は同窓会である。といってもある同窓会の各参加者の思いや恋愛を描いて終わりというような単純な作品ではない。

登場人物はみな、それぞれのプライドやそれぞれのコンプレックスなどを抱えている。それらの高校時代のエピソードから現代のエピソードまでが時系列を前後させながら語られる。

 

読んでいると感じるのは「人によって同じ事件に対する受け止め方は違うな」というもの。しかしその違和感は読み進めるにつれ、ドンドンと膨れ上がる。その辺りが本作品のポイントとなる。

 

以下、本作品の構造に関するネタバレのため注意

 

ネタバレ内のような理由により、ちょっと納得の行かない感じではあったものの、人間描写の凄さにはゾクリとさせられた。ただ、凄さのゆえにちょっと気持ち悪さも感じた。各登場人物の見苦しい部分を見せられるたびに、自分の中の似た部分を見つけてしまい、自分に幻滅してしまうのだ。

 

そんなわけで、人間の、特に女性の見苦しくて怖い部分がいっぱい詰まった本作品。自分に自身のある方は一度読んでみていただきたい。意外な自分の醜さを見せつけられて、反省することになるかも知れない。