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南極料理人

監督:沖田修一/ 原作:西村 淳/ 89点

■こんなにラーメンが食べたくなる映画はない

 

南極料理人は元海上保安官だったという西村淳のエッセイ「面白南極料理人」を映画化した作品である。どういう作品なのかを簡単に説明すると、ひょんな事から南極のドームふじ観測拠点で1年以上働くことになった、堺雅人演じる主人公の西村淳が、南極基地の限られた条件で、毎日おいしい料理を振る舞うのを眺める映画である。

 

この映画のストーリーを語るのは難しい。というか語る意味が無い。特筆すべき事件はなにも発生しないのだ。基地に集まった面々は個性的な顔ぶればかりなのだが、だからといってとんでもない事は起きない、ちょっとした楽しいことがあったり、事件や悩みやいざこざがあったり、そんな事なかったかのように、またなんでもない日常が始まったり、ただただそれが繰り返される。

主人公はともすればうんざりしてしまいそうな、雪に閉ざされた生活の中、少しでも美味しい物を食べてもらおうとまいにち奮闘する。それが報われることもあれば、特に報われないこともあるのだが、とにかくこの料理が美味しそうなのだ。

 

自分はそこまで考えてた事がなかったのだが、あとで調べてみたら、こういう映画には単なる料理人ではなく、真っ当な名のある料理研究人が専属でつくものらしい。この映画の担当をしている方は「かもめ食堂」の担当をしている人と同じ人なのだとか。途中登場する「肉料理」が異常に美味しそうなのだが、それ以上に凄いのがラーメン。映画「たんぽぽ」以上に圧倒的にラーメンを食べたくなってしまった。と思っていろいろ調べていたら、そもそもこういう専門の料理研究人が映画につきはじめたのは、たんぽぽが最初なのだとか。詳しくはここをご参照ください。料理についても映画についてもここのレビューなんて読む必要がないぐらいに、素晴らしい解説がなされています。

 

自分が堺雅人という俳優を初めて意識したのは「クヒオ大佐」という作品。彼は外国人の振りをした結婚詐欺師の役割だったのだが、その全身からあふれる胡散臭さに心を鷲掴みにされた。本映画でも、彼の何だかよくわからない独特の空気にぐいぐい引き込まれる。上記リンクでも語ってあるとおり、彼を含む個性派俳優たちが、大げさなことをせずにジワジワと物語を進めている姿がじんわりと面白い。同じ邦画の名作といってもクドカン映画とは180°反対の本当に穏やかな方向性の映画だ。

 

穏やかな邦画が好みの人にはお薦めの作品。ただし空腹時に見ることなかれ。取り敢えずインスタントでもいいから、キッチンにラーメンを準備しておくことをオススメする。

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