サイト内検索:  

猫の形をした幸福

作者:子手鞠るい/ 原作:/ 86点
【送料無料】猫の形をした幸福

【送料無料】猫の形をした幸福
価格:1,575円(税込、送料別)

■「英語のラブは、日本語の『愛情』から『情』だけがすっぽりと、抜け落ちたものかもしれないね」(本文より引用)

 

「猫の形をした幸福」はある夫婦と猫のアメリカでの暮らしの話であり、猫好きによる猫好きのための作品といえよう。ただし、本作品の評価は猫好きの中でも真っぷたつに別れると思われる。自分もどんな点数をつけるべきなのか随分迷った。結果的に結構な高得点にした理由については後ほど述べる。

 

主人公の彩乃と未知男はともに再婚の夫婦である。見合いの結果、電撃的にいや、瞬間的に結婚を決めた。未知男は子供の頃からアメリカに住んでいるため、日本人でありながら、アメリカ人的考え方を持つ男である。彩乃は身体的問題により、子供を作る事ができない。優しい夫はそれに対し、「俺は子供なんか嫌いなんだ。だから二人で猫を飼おう」といい、二人は「マキシモ」という猫を飼い始める事になる。

とにかく作中の猫のしぐさが可愛い。猫を飼っている人にだけ共感の出来るであろう描写、いや「猫写」に読んでいるだけでニヤニヤさせられる。その一方で、最初から物語が悲しい結末を持つ事を匂わす表記が頻出するのが、正直邪魔だった。しかし、読み終わってみると、それには狙いがあったのだなと理解した。

 

以下、物語の全般的な流れについて触れますので、未読の方は注意。

 

いろいろとネタバレ内に書いたが、結局の所、猫大好きな自分としては猫の生死を作品化する事に対する嫌悪感というのは、普通なら拭い去れない。「そんな事言ったらミステリなんて人の生死を作品化してるじゃん!」という苦情は受け付けない。だって猫だよ!猫。猫は特別なので問答無用。

でもね、それでもこの作品が嫌いじゃない理由は一つ。作者が無類の猫好きであり、彼女が飼っていた猫の事を下地に書いた作品である事を知ってしまったからだ。猫好きが飼い猫を想って書いた文章に批判など出来るはずが無い。

 

...次は「愛しの猫プリン」「オトコのことは猫に訊け」あたりを読むかな。

【送料無料】愛しの猫プリン

【送料無料】愛しの猫プリン
価格:567円(税込、送料別)

【送料無料】オトコのことは猫に訊け

【送料無料】オトコのことは猫に訊け
価格:1,470円(税込、送料別)