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魔法使いの弟子

監督:ジョン・タートルトーブ/ 原作:/ 79点

■ドリカム状態

 

「魔法使いの弟子」は、魔法使いの弟子が悪い魔法使いと戦う映画である。...いかん、説明が終わってしまった。元ネタはディズニーの「ファンタジア」である。ニコラス・ケイジが昔見たファンタジアの感動を今の子供たちに、という意図で企画した、わかりやすいファンタジー映画だ。

 

ニコラス・ケイジ演じるバルサザール・ブレイクは1000年前の3人の強力な魔法使いの一人で、3人は強大な魔力を持つ魔女と戦っていた。で、3人のうちの一人の女魔法使いは、自らの中に魔女を取り込むことで尾獣となり魔女の力を抑え、自分の身体ごと電子ジャーマトリョーシカの中に封印されたのだ。

ケイジは彼女を救いたいが、魔女を倒す力はない。そこで伝説の魔法使いマーリンの後継者の登場を待つことにした。何と1000年もだ。で、小学生時代の(まだイケてる時代の)デイヴと偶然出会い、彼が待ちわびた後継者だと知る。ところが、邪魔をしに来た残りの一人と戦ってるうちに、10年出られない壺に閉じ込められるというトラブルに見舞われた。デイヴはその戦いのさなかでズボンに水を被り、それ以降みんなに「おもらし」と呼ばれつづける羽目になる、というトラブルに見舞われる。

 

で、10年後、封印をとかれたブレイクがデイヴを訪ねると、おもらし事件以降、弄られキャラと化したデイヴは物理学がめちゃくちゃ得意な以外には何のとりえもない、見た目もパッとしない、典型的な「イケてないやつ」になっていたのだった。

 

あとはまぁ、イケてない主人公がいかに魔法を身につけ、いかに意中の彼女の心を掴むか、というわかりやすい展開。結末は語るまでもあるまい。さほど過激なシーンも登場しないため、お子様と楽しく見られる事請け合いである。

 

とまぁ、このように書くと平凡な作品であるかのようだが、何箇所かいたく気に入った所があった。以下、ネタバレ内で解説。

 

ネタバレ内に書いたような真面目な理由はともかくとして、作品全体はおちゃらけムード全開であり、気楽に見られて丁度良い。登場人物は魔法をいかに効率よく使うかなんて事はちっとも考えていない。面白い手法で戦う事が義務なのかというぐらいだ。やっている事は、「喧嘩の代わりにダンスで勝負だ」っていうブレイクダンスの映画に近い。

「魔法使いの弟子」といえば、のだめにも登場した管弦楽の曲としても有名。そして本映画でもそのシーンはちゃんと収録されている。このシーンは正直「ああ、誤解される。あぁ、ワンパターン」と嘆かわしく見えたのだが、その後の女の子の台詞が素晴らしい。こんな事言ってくれる、物分りのいいヒロインはなかなかいないぞ。

 

 

この映画でしいて気に入らない点を一つ上げるとすれば、最終的にボスと戦う運命を教えずに、「ちゃんと魔法を勉強します」と約束させた事であろう。スターウォーズもしかりだが、アメリカ人は約束させる前や何かをさせる前に条件や理由をちゃんと説明しないのが普通なのか?というか、それが常態化しているからこそ、あんな過剰なPL法がはやったのかとかんぐってしまうぐらいだ。