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ぶたぶた日記

作者:矢崎在美/ 原作:/ 78点
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■ほのぼの路線を突き通して欲しかった

 

「ぶたぶた」は矢崎在美の当たりシリーズであり、おそらく老若男女誰に読ませても、結構楽しく読めるのではないかと思う。始めてこのシリーズとであう人の為に詳細は書かないが、本作はファンタジーな要素を多分に含んだ作品であり、読後には必ずほのぼのとさせられる事となる。

しかし、だ。今回の「ぶたぶた日記」はどうにもシビアなお話も出てきたりして、手放しにほのぼの作品扱いは出来ないようなさ工夫となってしまっている。初めて読んだ時にはそれもありかな、と思ったのだが、今回レビューを書くにあたって再読してみると、やはり違和感を感じてしまった。

 

なお今回の作品は、あるエッセイ教室の先生および生徒達の視点からみた、短編集の形となっている。各話ごとの感想は以下。

 

【第1回 突然の申し出】

第1回はエッセイ教室の先生の視点での作品。よく出来たエッセイを紹介しようとした先生は、その作者に意見を聞こうと、生徒のうちの一人、山崎を探して非常に驚く事となる。突っ込みを入れたいけど入れられない。この驚きを誰かと共有したいのに共有できない。しかも折角のこの状況に気づいていない君、ほら気づいてよ!って思ってるのに、気づいてもらえない。そんな先生の心中描写が非常に楽しい。本作中では一番好きなエピソード。

 

【第2回 二番目にいやな事】

これも見事なほのぼの系。会社に上手く溶け込めていない女性の視点でのお話。「2番目って事は何でもいいんだ」という発想の転換は斬新。というか、エッセイ課題の「二番目に印象に残った事」ってのが、冒頭に出つつすでに最大のオチだよなぁ。

 

【第3回 不器用なスパイ】

第1回で気づいていなかったあの娘がようやく気づく。第2回に登場しなかった理由も明らかとなる。なんだか沢や中青春小説のよう。

 

【第4回 もっと大きくなりたい】

第1回に続き弱メタ属性。小説家になりたい熟女が主人公のお話だ。「山崎」の家族がガッツリ登場する珍しいエピソード。家族に全てを賭けるのはどうかと思うけど、家族の為に人生の可能性の幾つかを我慢せざるを得ない感覚は、最近良くわかるようになったなぁ。

 

【第5回 紅茶好きの苦悩】

ギャグとして読めばよいのだろうけれど、なかなか解けない誤解にストレス。主人公の説明ベタに若干イライラしてしまうのだ。もうちょっと上手く切り抜けないと、人生のいろんなタイミングで損するよ、あんた。

 

【第6回 今までで一番恐かったこと】

これが本作のエピソード中で一番問題となった1本。幻想の裏側に触れてしまった作品である。いや、そこで現実を読者に突きつけるのはいいんだけどさ。その結果、ファンタジとして成り立っていた、誰も突っ込まないと言う前提が崩れてしまうので、むしろ物語のリアリティが失われている気がするんだ。こんな方向の目新しさは蛇足だった気がする。

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