イレイザー監督:チャック・ラッセル/ 原作:/ 15点
■典型的B級映画
イレイザーはシュワルツェネッガーが暴れまわる映画である。とまぁ、ここまで読んだ段階で「見たい」と思わない人にはこの映画はもう見る価値が無い。映像や脚本や演技に期待してみるような映画では無いからである。いや、アクションが見たい!と思う人も、ちょっとまってくれ。それならターミネーター系やコマンドー系の方がお買い得なわけで、何も無理してこれを見る必要は無い。
本作品のタイトル「イレイザー」の原題は「ERASER」である。通常なら「イレイサー」と発音する本単語の第1意味は「消しゴム」である。無学にして知らないが、特定の条件でイレイ「ザ」ーと濁るのか?「なんとなく濁点がついていたほうが強そう」という「ロボットアニメのタイトルには濁点を入れろ理論」が適用されている気がしてならないのだが...。 で、このタイトルがなぜ「イレイザー」かというと、「消す人」という意味で採用されているのだ。主人公のシュワルツェネッガーは凄腕の「証人保護官」である。要は「凄く悪い奴の裁判前に証人が組織に消されないよう守る人」という特殊なジャンルのボディーガードだ。ただ彼の場合、普通のボディーガードとはちょっと違う。 冒頭の1シークエンスがなかなか凝っていて、彼は殺されそうになった証人達を守りつつ、代わりの死体を準備して、国の様々な機関に残るデジタルデータを書き換える事で、彼らを死んだ事にし、別の人生を提供したのだ。元の証人の人生を消す事で、彼らの命を守る、だから「ERASER」というこの設定はちょっと格好いい。シュワルツェネッガーの演じる主人公=体力馬鹿という図式を想像していた自分は素晴らしい肩透かしを食らった。
...のだが、その後、素晴らしくない腰砕けを見せ付けられまくった。論理的じゃない行動をする証人と論理的じゃない敵に体力だけで戦うシュワちゃん。あれ、一流のエージェント設定はどこへいったの?という変貌っぷり。国家が開発した最新の武器を他国のゲリラに横流しするわるいやつを....って設定はアメリカ映画には良くありがちだからいいとして、その武器がSFすぎる。相手が壁をすり抜けて見れる謎の赤外線スコープに、壁を突き抜けるブルーの謎のエネルギー砲。突然パロディ映画に路線変更したのかと思った。 極めつけは動物園での戦闘シーン。水槽が割れて飛び出したワニが、人間より早く歩いて、ジャンプしながらバクバクッってお前!!電車の中でゲラゲラ笑うところだった。ワニオリンピックがあったら連中の優勝は間違いないだろう。
とまぁ、そんな感じで映画の最初の1割だけがミッションインポシブル等の出来の悪いコピーみたいな感じで、あとはずっとだらだらと同じような戦闘シーンが続くだけ。無駄に主人公やヒロインを生かしておくボスも含め、なんともまぁ長閑な映画でした。B級・C級映画ファンにお勧め。見て・指差して・笑え!!
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