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家守綺譚

作者:梨木香歩/ 原作:/ 100点
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■梨木香歩という作家を読むに等しい

 

家守綺譚は梨木香歩の最高傑作のひとつであり、彼女の作品が好きな人なら、このような書評など読んでないで本屋さんか楽天かAmazonに駆け込むべきである。とは言うものの、この作品のよさは、これから書くような評価や説明によって大きくスポイルされるような類のものではない。ストーリーが魅力的な作品ではなく、その設定や文体が生み出す「空気」に魅力がある作品だからだ。

 

先に作品の誕生背景を説明しておこう。「家守綺譚」という作品は、彼女の「沼地のある森を抜けて」執筆中の「ストレス発散」のために誕生したような作品らしい。沼地〜執筆において、彼女は得意な植物についての描写などをあえて避け、4年という長きにわたり、それこそ命がけで臨んだのだという。そのカウンターバランスとして、植物への愛などを好きなだけ織り込んだ作品が、この「家守綺譚」なのだ。

このスタイルの作品には成功例が多い。例えば、漫画家である佐々木倫子は、動物への愛があふれすぎて、コマの端々に物語の内容と関係なく、動物を登場させ続けていた。だったら、好きなだけ書きなよと始めたのが、名作「動物のお医者さん」である。また、ライトノベル作家である西尾維新が「100%自分の趣味だけで書いてみた」という「化物語」が大ヒットの上アニメ化され、そのBlu-ray販売数がエヴァすら超えてしまった一件は、記憶に新しい。その例に漏れず、本作品も「梨木香歩らしさ」にあふれた素晴らしい作品となっている。

 

物語の舞台は100年ほど前の日本。学士号を取得したばかりの駆け出しの作家である綿貫は、縁あって、学生時代に川で行方不明になった友人、高堂の実家の住人兼管理人、つまり家守となった。本作はそこで起こるちょっと不思議な体験を短編の連作の形で描いた、和風ファンタジー作品である。

物語はあたかも詩歌であるかのように、叙情的にかつ、余韻を残す形で美しく描かれ、この文体にはまると何度読んでも飽きない。それこそ詩歌を読むかのごとく、何度も手にとってしまう一冊なのだ。

 

そんなわけで、日本語の美しさが感じられるこの素晴らしい一作。中古でも何でもいいから、借りるのではなく是非手に入れて、繰り返し楽しんでほしいと思う。

 

なお、wikipediaは彼女の肩書きを「児童文学作家」としていた。児童文学とは子供だましという意味ではない。子供に読ませたくなるほど、美しい文章を書くという意味なのだ。

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