サイト内検索:  

攻殻機動隊 S.A.C. episode 3 ささやかな反乱 ANDROID AND I

監督:神山健治/ 原作:士郎正宗/ 87点

攻殻機動隊 Stand Alone Complex episode 3

- a stand alone episode:ささやかな反乱 ANDROID AND I

 

■映画マニアによる映画マニアの為のエピソード

 

アンドロイドの集団自殺事件が発生した。本来ロボット三原則同様、自己防衛ロジックが働くべきアンドロイドの自殺は、考えにくい事象であった。調べてみると、それらはやや型遅れのGA07-JLK、通称「ジェリ」と呼ばれるモデルばかりである事が分かった。

女性型アンドロイドはその製品の性質上、違法改造を受け、性の慰みものとなりがちで在ったことから、オカルト的風聞も流れつつある状況であったが、果たしてアンドロイドたちの自殺の原因は?というのが本エピソードの主な流れである。

 

物語全体はちょっとしたミステリ仕立てで、初めて見る際にはクライムノベル的に楽しむ事ができる。一方で映像的見せ場があるわけではないので、繰り返して見るには不向き。脚本的には感動的なラストが設けられているのに、個人的に「彼」のキャラクタが好きになれなかったせいで、いまひとつ感情移入できなかったのが惜しい。

 

以下、ネタバレを含む、「彼」についての解説。

 

とまぁ、上記ネタバレ内に書いたように、「彼」に感情移入できないのは仕方が無いと思う。しかし、脚本としての感動の演出手法は見事で、むしろそちらの方にゾクリとした。

 

以下、トグサ視点でその演出方法を解説。当然ガッツリネタバレです。

とまぁ、こんな具合。本当に素晴らしい。マクラクランがもっといい男だったら、もっといい点数をつけたのだが...。

 

また、上記ネタバレのような構成により、シリーズ全体としてみた時に、「当初のタチコマ=単なる機械」→「HAW0206=ハードが機械でもゴーストを持った人間の意識と結合して半ば生命体となった」→「ジェリ=ハードもソフトも機械なのに、生命体に近づいていた?」という、大きな流れが見えるようになっている。stand alone epsodeだからといって、シリーズ全体には関係が無いのかというと、そうではないのだ。

 

 

ところで、本作品はどうも実在の映画をモチーフにしている様子。ゴダールの「勝手にしやがれ」と「アルファビル」がそうだ。実はマクラクランの部屋に踏み込んだ際、手に取った2本が両作品だったりする。自分は古典に弱いので、今度機会があったら見てみようと思う。その場合、ここに記事を追記するかも。

 

 

ちなみに、サブタイトルのANDROID AND Iは、「アンドロイドと僕」であると同時に「アンドロイドと愛」なんだろうな、多分。

 

攻殻機動隊 Stand Alone Complexに関する記事一覧はこちら >>