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ザ・ビーチ

監督:ダニー・ボイル/ 原作:/ 40点
ザ・ビーチ<特別編> 【DVD】

ザ・ビーチ<特別編> 【DVD】
価格:1,342円(税込、送料別)

■「夢のような生活」の生活レベルが低すぎる

 

「南国の素敵なビーチに行ったら大変なことに」という、いかにもハードなイメージのトレーラーは飽きるほど見たが、まさかこんな映画だったとは。ディカプリオの血沸き肉踊るアクションシーンを期待して見ると、がっかりすることになるのでご用心。

 

本作はさえない主人公が「環境が変わると自分が変わる」という甘ったれた期待で南国を旅する話。「一般旅行客ってやつは」と周囲を馬鹿にするモノローグから映画は始まるが、実のところ、主人公こそ単なる「空気の読めない世間知らずのゲームオタク」だったりする。本作では彼が虚勢で前に進み、災禍の目となる。

で、たまたまある地図を手に入れた主人公は、夢のようなビーチにたどり着く。ところが、彼の行動が元でトラブルが発生。「蠅の王」のようなどろどろのサバイバルゲームが繰り広げられる....のかと思いきや、そうはならない。ややショッキングなシーンもあるもののホームドラマのごとき小競り合いが続き、とても穏やかなエンディング。結局、「アメリカドラマにありがちな性と薬の青春物を、ちょっぴり過激に描きました」程度の小粒な作品に納まってしまった。あらら、という感じ。

「蠅の王」のオマージュにしては弱すぎて失敗。主人公がオタクであることを利用したある展開を「狂気」の開始にして、恐怖の展開を描くことも可能だっただろうが、そういうわけでもない。非常に中途半端な印象。

 

「ビーチでの夢のような生活」がまったく魅力的に見えなかったこともあり、個人的にはまったく感情移入できず。映像も音楽も演技も悪くないが、脚本が悪い。40点。ディカプリオのファンには70点....といいたいところだが、幻滅するのでむしろ見ないほうが良い。本作のディカプリオは非常にダサい役なので。しかもそれがハマり過ぎている。イメージ落ちるよ。

 

以下は、超ネタバレ感想。これから見る予定の人はここまで。かなり残念な評価なので、この映画が面白かったという人は読まないように。気分を害しても責任は取りません。感じ方は人それぞれ。

 

そんなわけで、この映画のタイトルは「ザ・ビーチ」から「ザ・ビッチ」に変更確定。とりあえず脚本家は「嫌なことがあったら現実逃避。人を殺したのも、今となってはほろ苦い思い出」という奴なので、個人的お付き合いは避けるべし。これぐらいなら、「殺し合いになって主人公以外死亡」って展開の方が、よっぽどハートフルな映画だと思う。ほかが良くとも脚本が駄目では話にならない好例。ちょっと「蠅の王」を読み直して来い。

 

なお、後でwikipediaで調べてみたら、やはり音楽の評判は良いらしく、サントラが物凄く売れているらしい。残念ながらDVDの売り上げ枚数については触れられていなかった。