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WXIII 機動警察パトレイバー

監督:高山文彦/ 原作:ゆうきまさみ/ 42点

■映画とは呼びがたい

 

WXIII 機動警察パトレイバーはパトレイバー劇場版の3作目。WXIIIはウェイステッドサーティーンと読み、廃棄物13号を意味する。漫画版のファンならご存知の通り、原作にも登場する「廃棄物」シリーズの映画化作品だ。原作でも人気の高いエピソードの映像化では在るものの、残念ながら2作目ほどの素晴らしいできにはならなかった。

 

アニメ映像のレベルはそれなりに高いのだが、2001年の作品にしては平凡。いつもの「時代を見まがう」ほどの出来ではない。また、余りにも早くから「廃棄物」を明るいシーンで見せていることもあり、どうにも間が持たない。自分が鑑賞に使った24インチモニターでそうなのだから、映画館の大画面では映像の密度が相当物足りなかったのではないか。

原作が存在しているとはいえ、細かい設定は異にしている。マッドサイエンティスト的な演出だった原作に対し、もっとウェットで悲しい物語に仕上がっている点は判断として拙くない。しかし、それだけにストーリーは予定調和で、2度目を見ようという気にはならない。攻殻機動隊の「暴走の証明」に近い作風ではあるものの、2時間映画として成立させるにはちょっと弱かったと思う。むしろ「暴走の証明」の方が映画的だった。

2があれほどの名作であったのになぜ、3がこの程度の出来なのか、甚だ疑問。2が「レイバーが活躍しないが非常に『映画的』であった」のに対し、3は「レイバーが活躍するわりに『映画的』でない」のだ。

 

...と、ここまで書いてから気になってWikipediaで調べてみたのだが、どうやらこの作品は押井守作品でもないし、そもそもOVAの予定だった物を途中から映画化したというものらしい。さもありなん。何となく崖の上のポニョを見た後にゲド戦記を見た気分。綺麗にまとまってはいるけれど、御大の作品を見た後だとちょっとなぁという感じ。

なんでも、前作でカトキハジメやゆうきまさみと喧嘩した押井守が本作の監督依頼を断り、0080ポケットの中の戦争の監督である高山文彦が担当する事になったものの、総指揮が手一杯で、実際には遠藤卓司が監督した、という紆余曲折の元完成した作品らしい。押井守版で見たかったなぁ。