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コンスタンティン

監督:フランシス・ローレンス/ 原作:ペーター・ミリガン/ 84点

■キアヌ・リーブスの負の魅力爆発

 

コンスタンティンは、キアヌ・リーブス主演、フランシス・ローレンス監督のファンタジーアクション映画。一応、マイナー系アメコミ「ヘルブレイザー」という原作があるらしいが、baristaは読んだことが無いため、前知識無しでの感想。

 

コンスタンティンはいわゆる「エクソシスト」物。「ホラー」という意味ではなく「悪魔祓い」という意味だ。日本人にわかりやすく言えば、「ハリウッド版 ゴーストスイーパー美神」である。主人公のコンスタンティンは生まれつき「見える人」であり、変人扱いされ、悩み、自殺未遂を起こし、現在に至る。

 

実はキリスト教において自殺は殺人以上の大罪である。このあたりの文化を理解していないと本作品の彼の悩みが理解できない。たとえば、911事件で炎に巻かれて絶望した人が、ビルから飛び降りるシーンが繰り返しTV放映されたことがある。その際、当然視聴者から苦情が来たのだが、その理由は「残酷なシーンだから」では無かった。「キリスト教において禁じられている自殺の瞬間をTVで流すのは本人にも周囲にも良くない」というものであったのだ。それぐらいにキリスト教文化圏において「自殺」はタブーなのである。

ちなみに、自殺をタブーとするのは「あの世」を定義する宗教においては必然的なものだ。「あの世に行けば幸せで、この世は修行の地である」という教えは、現世の苦痛を和らげる助けになるが、同時に自殺という安易な方法で現世から逃げ出す原因にもなりかねない。したがって天国を定義したら、セットで自殺を罪と定義するのが必然。これはキリスト教に限った思想ではない。

 

脱線したが、そういう背景があるため、彼は自殺未遂を行ったことにより、将来必ず地獄に行くことが決定してしまった。普通の人ならそんな運命は信じなければ済むことだが、彼は「見える人」であるが故に、自分が死んだら地獄に行くことに非常な恐怖を感じている。ところが、物語冒頭、彼は肺癌によって余命一年であることを宣告されてしまう。彼は極度のヘビースモーカーだったからだ。

 

彼は何とかして天国に行こうと「点を稼ぐ」ために、エクソシスト業をやっている、なかなか不純な感じの主人公だ。肉体的に強靭かというと、ちっともそんなことはなくて、道具や特殊能力を組み合わせて何とか戦っているという状態。そんな彼はある日、「自殺した妹に悩む女刑事」と出会う。で、そこから、天国地獄を交えたミステリ的ストーリーが展開されるわけだ。

 

本作品の割り切ったストーリーは、細かいことを気にしていないところがいい。宗教物は突き詰めるととても大変なことになるのだが、本作の場合は要素を適度に引用して、物語として面白くなればよいやと言うスタンス。バスタードの後半やデビルマンに近い。適度に考えさせられるところがあるが、深く考えなくても「神対悪魔の戦いに人間が巻き込まれて大変だ〜」ぐらいの感覚で見ることができる。いいバランス感覚だ。

映像もすばらしい。超緻密なリアルさにこだわるスターウォーズのようなアプローチもあるが、本作の場合マトリックス的な面白さや、雰囲気を重視していてこれはこれで秀逸。すべてが灰燼と化すイメージの地獄の描き方には感心した。

また、監督はキアヌ・リーブスの使い方がわかっているなと思う。キアヌ・リーブスはスーパーマンが似合う男ではない。JMなどの作品でもそうだったが、「体力の無い中年が嫌々で冷や汗をかきながら危機的状況を凌ぎ切る」ってあたりが彼に似合う役なのだ。その点、本作でも彼の頼りなさや情けなさがうまく生かされていてよい。正直マトリックス等の役柄は強靭すぎて彼のイメージに合わない。

 

web上では賛否両論のようだが、「あの役」で出てくるピーター・ストーメア(プリズンブレイクにおけるアブルッチ役)や、「あの役」のティルダ・スウィントン(ナルニアの氷の女王)もはまり役。独特の雰囲気が非常にすばらしい。ピーターストーメアにいたっては終盤のアブルッチのあの行動が目に浮かんでもうw(見てない人、すいません)。

 

ちなみにこの監督、コンスタンティンが初監督作品だそうな。しかもアイ・アム・レジェンドの監督だった。うん、この人の作品好きかも。PV上がりらしいが、この人の手がけた音楽PVが見てみたいな。

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