トランスフォーマー監督:マイケル・ベイ/ 原作:/ 76点 ■映像だけで楽しい映画
うん、面白かった。超絶変形していくCGは圧巻。オプティマス・プライム(日本で言うところのコンボイ)とバンブルビー以外は変形してロボットになると、どれがどれだかさっぱり見分けがつかないけれど、動きが格好良かった。全体的によく出来たエンターティメントで、ワイワイ楽しむには非常に素晴らしい。
ただ、オタクの観点から見るとロボットデザインの必然性や、トランスフォーマーの生い立ちに関する設定に疑問。 前者に関しては、デザインの必然性が希薄であるということ。トランスフォーマーのおもちゃがとても売れた理由は、あの「デザインの必然性」にある。「車の部品のここがロボットのこんなパーツになるのか!」という驚きが素晴らしかったのだ。邪魔なタイヤをどこに処理するか、あるいはガラスをどこに配置するか、そのためにここのパーツを180度回転させて、など非常に工夫がなされていた。初めて触る子供が変形のさせ方が難しすぎて壊してしまうぐらい複雑でも、パーツをはずすことなく過不足ない変形を実現していた点が、世の中のちゃちな変形ロボットとの差別化ポイントであったと思う。無論、二足歩行ロボットの無意味さに触れてしまうとどうしようもないが、ベースとしての設定がしっかりしており、SFとして成立していたわけだ。 ところが、本映画での変形は「質量無視のトンデモ変形」である。折りたたんだ箱をどんどん開くとなぜか巨大なロボットになるという、ギャグ漫画にありがちな構造だ。100歩譲って、中空構造で質量を保存していたとしても、「あのタイヤは何のために残っているのだ?」という事になる。あれだけ自由な変形が出来るなら、ロボットになった際に、不要な車やヘリのパーツを残しておく意味がない。「元の形に制約を受ける」前提だったからこそ、タイヤを背負ったロボットは格好良かったのだ。 そして最後の逃げ道に使えそうな「一度車などに変形すると、その形に制約を受け...」という解釈すらもこの映画ではなりたたない。バンブルビーや、敵のあの小さいギャグ担当ロボットが制約がないことを証明してしまったからだ(ネタバレを極力避けるために表現に苦心しております)。ってなわけで、生い立ちに関する設定の時点でちょっと失敗していたのではと思う。せめて「制約」をつくるか何か、方法はなかったものか。
ストーリーに突っ込みどころは満載だが、そういう映画ではないので突っ込むまい。突っ込みたい3箇所中2箇所は、たぶん「映像的に見栄えがするからそうしました」という回答だと思うし。
いろいろ文句をつけたが、なかなか良い作品だと思う。マイケル・ベイ監督はこういう何も考えず見る映画に向いている。アイランドのような複雑な映画をやらせると大やけどするので、今後もこちらの路線で頑張って欲しい。 Copyright barista 2010 - All rights reserved. |