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バベル

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ/ 原作:/ 41点
バベル スタンダード・エディション

バベル スタンダード・エディション
価格:3,591円(税込、送料別)

■言葉だけでなく映像の意図も伝わらない

 

BABELはブラッドピットや菊池凛子など錚々たるメンバが登場する、ちょっと芸術的な映画だ。映画祭などでは総じて評価が高かったらしいが、楽しく家で見る分には、今ひとつ。いや3つぐらい。

 

とにかく冒頭から空気が重い。ひたすら続く不吉な予感に、動物としてストレスがたまる。菊池凛子が女子高生役をやるのは無理があるだろうとか、突っ込む気力が無くなるぐらいに重たかった。菊池凛子のヌードシーンが、などという中途半端な興味で見ようものなら、門前払いされること請け合いである。とはいえ彼女の演技自体は素晴らしく、栗山千明と並び、海外でも活躍できる女優の1人である事は間違いない。

 

ストーリィ中で起こる事件は3カ国で3つ。描かれる主人公は4チーム。それぞれがつながった1つのストーリィなわけだが、結局ハッピーエンドともバットエンドとも言いがたい、極めて余韻を残した状態で終幕。解釈の仕方はいろいろあるのだろうが、解釈しようという気力が起きなかった。映像や構成が洗練・整理されているのはわかるが、尻切れトンボの割には解釈しようと言う気力が起きない。正直この構成を映像で見るのは厳しかった。小説なら同様の作風でも平気だろうがが、映像特有の「間の強制」がつらさの原因となっているのではないか。

 

本作は、旧約聖書の「バラバラの言葉で話させた」というテーマを取り扱ったのだとか。あぁなるほどと思ったものの残念ながら脚本にそれは生きていない。精々「あぁ、言葉が通じないとイライラする」というシーンが何度もあるというだけで、そのストレスから開放されるべきシーンが無い為、視聴者は快感を得る事ができないのだ。

 

まとめると演技や映像の質は素晴らしいが、脚本は2〜3味足りないってところ。残念ながら芸術映画好き以外には全くお勧めできない作品。お金を無駄にしたとまでは思わないが、もう一度見たいとは思わないな。