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パンズ・ラビリンス

監督:ギレルモ・デル・トロ/ 原作:/ 86点
パンズ・ラビリンス

パンズ・ラビリンス
価格:3,591円(税込、送料別)

■とても重いがよくできている

 

パンズ・ラビリンスはライラなどと同時期に発表された芸術性の高いファンタジー作品。メキシコ・スペイン・アメリカ合作のため、英題はPan's Labyrinthだけど、原題はEl laberinto del faunoである。主人公はパンではなくオフェリア。Panってのはギリシア神話の牧羊神で、原題のfaunoはそれに当るローマ神話の神、ファウヌスのことだそうな。ファウヌスは家畜や田畑や野や森を守る神で、wikipediaによれば、名は「いるもの」を意味するらしい。日本の八百万の神に似た発想に感じる。

結論を先に言うと、ナルニア、ロードオブリング、ハリーのようなファンタジーを想像して見ると最悪(そもそもPG-12指定だし)。しかし、戦争映画、社会派の映画、芸術映画として評価すれば素晴らしい作品だと思う。脚本をそのまま小説化しても読むに耐えうる内容。演技、映像、脚本どこにも穴は見当たらない。ただし、元気のあるときに見るべき映画。デートには向かない。そして見終わった際には絶対にスッキリしないはず。それが狙いであり、ある意味救いなのだと思う。

 

自分は映画や小説の背表紙の説明などすら見るのが嫌いなので、パッケージ写真に惹かれての借りてきたのだが、全然見当違いの内容だった。パッケージの美しい写真から夢のあるファンタジーを想像していたのだが、実際にはほぼ戦争映画。ヒトラー的ビジュアル造形の将軍の下に嫁いだバツイチの母とその娘オフェリアの物語である。

将軍は内戦を治め、配給を管理する立場の、かなりタカ派な古い軍人。オフェリアの母は何を思って奴に頼ったのだろうか。恐らく経済的な問題だろうが。ともあれ、そういう設定である都合上、ゲリラ側とのシビアな戦闘シーンが頻出する。戦闘後に倒れている人の頭に順に銃弾を打ち込んで止めを刺すなど、かなり過激な描写が多く、この時点でちょっと倒れそう。実写の戦争映画はエネルギーが要るので苦手なのだ。

 

そんな世界の中で、童話がとても大好きな少女オフェリアは、ある石像を直してあげた事から、未来を予言する本を手に入れる。実はオフェリアは地底の王国から地上に逃げて死んだ皇女の生まれ変わりだったというのだ。そして彼女は地底の王国に戻るために、3つの試練を受ける、というのがストーリーのあらまし。

ところが、である。パッケージのファンタジー全とした写真に、途中からはずっとファンタジーの世界で物語が進むと想像していたのだが、ファンタジー側での物語は、毎回5分程度しか続かない。すぐに現実世界に戻って、また血みどろの映像を見せられる羽目になる。これはかなり厳しい。

 

以下、完全なネタバレ

 

とまぁ、長々と書いたが、見るともの凄く疲れるけど名作だという事は確か。芸術映画好きにはお勧め。ど派手に大感動系のハリウッド映画しか見ない人はやめたほうが良いと思う。

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