X-MEN ファイナルディシジョン監督:ブレット・ラトナー/ 原作:/ 77点 ■盲目の国に生まれた君は自らの目を潰せるか
マーヴルの代表作の一つ、X-Menの映画化第3弾。基本的に1・2を見ている前提で作られているため、前作までのあらすじ的なものはゼロ。特に2を見て無いと、冒頭からジーンの喪失に嘆くサイクロップスの行動が意味不明で、ちょっと不親切かも。エンターティメント系映画なんだから、前作のあそこを回想シーンで盛り込んでも良いのでは?1分もかからず説明可能だろうに。今回ある意味ジーンが主役だから、そこがわからないと何してるんだかわかるまい。
今回の話の肝はミュータント治療薬。ミュータントの超能力を無効にしまう能力を持ったミュータントの少年から作り出した、ミュータント治療薬でミュータントが「直せる」ようになったというのだ。で、みんなで人間になってハッピーエンド、ではないところが今回の話の骨子。治療を望むミュータントも存在するものの、「ミュータントは病気ではない!したがって『キュア(治療)』は不要だ!と反発するものが多数派だったのだ。 でもそんな事は考えてみたら当然。仮に生まれつき念力が使えて、空が飛べる、遠くのものを引き寄せられる、なんて能力があったとしたら、それを無くしたいと思うだろうか。そんな人はいないだろう。また、生まれつき羽根が生えていたとして、確かに異形ではあるがそれが自分の「個性」なんだと長い時間をかけて納得させてきたのに、いまさら病気だと切り捨てられるだろうか。 一方で「触れるものの生命力を意思と関係なく吸い取ってしまう」せいで、ボーイフレンドとキスも出来ない、ローグのような能力者は、治療したいと考えるのも当然だろう。そういうミュータント内での意思の非統一に、人間のミュータントに対する恐れからの「ミュータント治療薬の武器としての利用」などが絡み合って物語を作る。このあたりの「異形の者に対する反発」を扱った物語を書かせたら、アメリカに勝てる国はない。多人種の移民によって成り立つ国ならではだろう。
イマイチなサイクロップスをとっとと退場させたりしたあたりはマル。どっちみち光線しか使えないので映像的に面白くないし。ミスティークはお色気担当で活躍無し。なんとなく今回、面白い能力者が出なかったなという印象。もっとジョジョ的に「限定された能力だけど使い方によっては」ってのがほしかったな。 映像的には、美しいのに見せ場が少ないという印象。モブ系の映像が多く、一人ずつの能力の凄さが見えにくかったのが不満。前作のナイト・クロウラーなんかは見てて面白かったんだけどなぁ。突撃のシーンなんかは全員豆粒過ぎて、全然ミュータントに見えなかった。足の速いお姉さんとストームの対決は楽しかったけど。でも2回同じ組み合わせですか。ジャガーノートはカプコンのゲームのサイズを見た後だと貧相で笑えた。もうちょっとでかい奴にやらせてほしい。壁すり抜け少女は可愛らしくて実によい。ローグより彼女を活躍させた判断は正解。動きも面白かったし。 ちなみにチャールズ(=ミスターX)は今回全然活躍してない。ジーンの説得は説得として機能してないし。まぁ、前みたいに変な機械に入ってマトリックスまがいのCGを見せられるよりはあの展開・映像で正解か。ただ、チャールズを演じるパトリック・スチュワートは自分にとってピカード艦長であり、他の役をやってもどうも違和感がある。これは個人的な問題だが。
とまぁ、不満を沢山書いたが、実はおおむね好印象。最後の2シーンも簡単には終わらないアメコミらしくて良い。前フリも生かしてるし。アメコミファンに85点。一般人には70点ってとこか。自分は75点ぐらいかな。なんだかんだいってハリウッド映画は疲れなくて良い。 Copyright barista 2010 - All rights reserved. |